第64回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門 ラインナップ発表!
日本時間26日、第64回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門のラインナップが発表された。
オープニングを飾る「Atonement」をはじめ、ポール・ハギス監督の新作「In the Valley of Elah」、ウェス・アンダーソン監督の「The Darjeeling Limited」などアカデミー賞戦線でも注目度の高い作品がズラリ並んだが、最大の注目は日本から参戦の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」。日本映画としては「HANA-BI」以来の金獅子賞受賞を狙う「~ジャンゴ」は、伊藤英明、伊勢谷友介、石橋貴明、桃井かおり、香川照之など豪華キャストが顔をそろえた西部劇で、壇ノ浦の戦いから数百年後に平家と源氏の子孫たちが埋蔵金を巡って争うという荒唐無稽な物語。監督の三池崇史のファンというタランティーノも出演するスケールの大きなエンタテインメントだ。娯楽色の強い作品だけにコンペ部門での勝利を予想するものは少なそうだが、今年ヴェネチアではタランティーノが製作した西部劇のトリビュート・フィルムが上映されるなど、奇しくも西部劇がフィーチャーされる予定。この流れを受けて思わぬ番狂わせを巻き起こす可能性はある。
選出22作品のうち、アメリカの資本が入っている作品は全部で9本(うち単独が6本)とあって、今年もアメリカ映画が優位に立ちそう。実績上位はオスカー受賞経験もあるポール・ハギスだが、アメリカで十分過ぎるほど評価されているハギスをヴェネチアの審査員が改めて評価するかは微妙。先に行われたカンヌでも、審査員長のスティーヴン・フリアーズが傑作と評判のコーエン兄弟「No Country For Old Men」を無視して徹底した若手評価に走ったように、新たな素材発掘が優先されればチャンスは薄い。現に、巨匠たちの名前がズラリと並ぶ中、監督作わずか1~2作のキャリアしかない新人のエントリーが多く、カンヌに続き若い才能発掘がテーマに掲げられている気がしなくもない。映画祭のオープニングを飾るのが「プライドと偏見」で華麗なデビューを飾ったばかりの新人ジョー・ライトの二作目「Atonement」というのも象徴的だ。
さて今年のヴェネチア国際映画祭、一体どんな結果が待っているのか。各作品の詳細と管理人予想は後日。
■第64回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門
Atonement(監督:ジョー・ライト)(イギリス/アメリカ)123’
The Darjeeling Limited(監督:ウェス・アンダーソン)(アメリカ)91’
Sleuth(監督:ケネス・ブラナー)(イギリス/アメリカ)86’
This Is Chaos(監督:ユーセフ・シャヒーン)(エジプト)122’
Redacted(監督:ブライアン・デ・パルマ)(アメリカ)90’
The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford(監督:アンドリュー・ドミニク)(アメリカ)155’
Nessuna qualita agli eroi(監督:パオロ・フランキ)(イタリア)102’
Michael Clayton(監督:トニー・ギルロイ)(アメリカ)119’
Nightwatching(監督:ピーター・グリーナウェイ)(カナダ/フランス/ドイツ/ポーランド/オランダ/イギリス)134’
En la cuidad de Sylvia(監督:ピラール・ロペス・デ・アジャラ、グザヴィエ・ラフィット)(スペイン)90’
In the Valley of Elah(監督:ポール・ハギス)(アメリカ)120’
I’m Not There(監督:トッド・ヘインズ)(アメリカ)135’
The Sun Also Rises(監督:チアン・ウェン)(中国/香港)116’
Help Me Eros(監督:リー・カンシェン)(台湾)107’
La Graine et le mullet(監督:アブドラティフ・ケシシュ)(フランス)151’
Lust, Caution(監督:アン・リー)(アメリカ/台湾)135’
It’s a Free World…(監督:ケン・ローチ)(イギリス/イタリア/ドイツ/スペイン)96’
L’ora di punta(監督:ヴィンチェンゾ・マーラ)(イタリア) 96’
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(監督:三池崇史)(日本)121’
12(監督:ニキータ・ミハルコフ)(ロシア)153’
Il dolce e l’amaro(監督:アンドレア・ポルポラティ)(イタリア)98’
Les Amours d’Astree et de Celadon(監督:エリック・ロメール)(フランス/イタリア/スペイン)109’