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第80回 アカデミー賞授賞式 詳細レポート その1 (08/03/11)

3ヵ月半にわたる脚本家組合のストライキで開催が危ぶまれた今年の授賞式。直前に製作者側と脚本家組合が合意に達し、無事授賞式開催にこぎつけたが、準備期間はわずか。果たしてこの短期間にどれだけの用意が出来たのか。

オープニングムービー
1台のトラックが荒野を走り抜けていくCGムービー。トラックがハリウッドの街中に入っていくと、横をデロリアンが走り抜け、スパイダーマンが飛び去っていく。「トランスフォーマー」の悪ロボによる爆撃をすり抜け、インディやリプリーら映画のヒーローたちがたむろするストリートを滑走。とにかく夥しい数のヒーローが登場。新しくはハリポタ、キングコング、キャプテン・ジャック・スパロウら古くはダーティ・ハリー、「フレンチ・コネクション」のポパイ、メリー・ポピンズにアクセル・フォーリーの姿も。最後はトラックを運転していたのがターミネーターのシュワルツェネッガーだったという落ちで締め。トラックが運んでいたのは大量のオスカー像だった。
このムービーはさすがに脚本家ストライキ中から製作されていたもののよう。脚本家組合が権利を持たないオリジナルのCGムービーだ。

ジョン・スチュワートのオープニング・トーク

舞台上には5本からなる巨大な円柱型のオブジェクト。凝った装飾は一切ない機能的なデザインだ。シンプルといえば聞こえはいいが、準備期間不足という事情を知っていると、単に凝りたくても凝れなかったという風に見えてしまう。円柱のうちの1本が上部にスライドしていき、中からホストのジョン・スチュワートが現れる。

スチュワートの司会は一昨年に引き続き2回目。前回は得意の時事ネタを武器に切れのあるジョークで笑わせてくれたが、今年はどうか。舞台をところせましと駆け巡るビリー・クリスタルの司会振りとは対照的に、スチュワートは一箇所にとどまってスマートに話芸を展開するのがスタイル。前回はただっ広いステージの真ん中に台座を配置し、動きの要素を意図的に排除したが、今年は何もなし。あまり見栄えのしないやり方で評判がよくなかったに違いない。

「みんな来てくれて夢のようだよ!この3ヵ月半はつらい時期でした。脚本家たちのストライキが終わりました。仲直りのしるしに今夜はベッドをともにしましょう」
場内笑い。やはり最初のジョークはWGAスト絡みできた。さらにWGAネタで押す。

「ヴァニティ・フェアのパーティが中止になったのは残念。脚本家たちに敬意を表するためって言うけど、だったら一度でいいから彼らをパーティに招待すればいいのに」
脚本家たちの不遇ぶりが端的に表されたジョークだ。

「今年は精神を病んだ殺人鬼の登場する作品が目白押し。『ノーカントリー』に『スウィーニー・トッド』、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』もある。ハリウッドは病んでるの?ティーンの妊娠なんていう軽い題材には本当に感謝しなくちゃね。」
今年の作品賞候補作の中で唯一のコメディである「JUNO/ジュノ」の存在を有難がる。

ただ今民主党指名代表選挙の真っ只中とあって、大統領選をネタにしたジョークが乱発すると予想されていたが、やはりいくつかのソリッドなジョークが披露された。一部を紹介すると……。

「ジュリー・クリスティの演技はよかったね。作品も素晴らしい。夫のことを忘れてしまう女性が主人公で、ヒラリー・クリントンが絶賛してるって」

「オスカーも80歳になった。これで共和党の指名候補になれるよ」

71歳の高齢で共和党指名代表の座を勝ち取ったジョン・マケイン上院議員を揶揄したジョーク。

「民主党は女性と黒人が指名代表をめぐって選挙を戦ってる。映画の中で大統領が黒人または女性の場合、巨大隕石が落ちてくるのが通例だ」
近年は映画の世界でも黒人大統領、女性大統領が大ブーム。しかし決まって彼らが治める国勢は大混乱だ。
「オバマのフルネームはなんとバラク・フセイン・オバマ。ミドルネームがフセインで、ラストネームが“オサマ”に似てる!ところで44年に落選した候補者の名前を覚えてる?ゲイドルフ・ティトラーって言うんだけど。」
確かにこんな名前じゃ当選は難しそう。

他、今年話題になった作品をネタにしたジョークを紹介。
「『マッド・ファット・ワイフ』がノミネートされてるね。これは非常に稀な快挙ですよ。ツマラナイ映画がノミネートされるっていうのは」
「『フィクサー』はいい作品だね。映画の上映時間は100分だが、弁護士に言わせれば“約2時間”だ」
「『JUNO/ジュノ』の脚本を書いたディアブロ・コディは元ストリッパーだそうです。脚本家に転身して給料下がったでしょ?」
「ストリッパーは飼ってる犬の名前と出身地を足して芸名をつけるんだって。だとすると、僕の場合は……オリンピア・デュカキス」

これにてオープニングトークは終了。前回に比べるとさすがにこなれた感じがあり、安心して見ていられるパフォーマンス。ビリー・クリスタルやウーピー・ゴールドバーグらと比べると華やかさに欠け、サプライズ要素もない分ワクワク感はないが、スチュワートの持ち味は十分に発揮できたのでは。ただ、ジョークの質は一昨年のほうが高かった。やはり準備期間の短さが影響しているようだ。





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