[受賞最終予想] 編集賞
編集賞受賞=作品賞受賞というデータに信ぴょう性があったのは少し前の話。ここ10年を見てみると、半分の5回で両者は一致していない。それでも他の技術賞に比べれば作品賞への直結度は間違いなく高く、少なくとも作品賞部門で有力視されていない作品はかなり割り引いて考えていい。というわけで、ここもやはり「アバター」「ハート・ロッカー」「イングロリアス・バスターズ」の三つ巴の様相だ。
技術賞部門は総なめといきたい「アバター」だが、大きな不安材料が1つ。監督のジェームズ・キャメロン自身の名前がクレジットされていることだ。本来、組合の規定により監督が編集を兼務することは認められていない。この組合規定対策のため、コーエン兄弟がロデリック・ジェインズという偽名を使って編集を行っているのは有名な話だが、そのジェインズは編集賞にノミネートされた2年前(ノーカントリー)、本命視されながら受賞を逃している。やはり少なからず反発がありそうだ。キャメロンの場合、「タイタニック」でも連名で受賞しているので不安視するまでもないかもしれないが、今回のような僅差の争いでは小事が致命傷になりかねない。
候補者はほとんどが今回初ノミネートで、受賞経験があるのはキャメロン1人だけ。ノミネート経験者もサリー・メンケ(イングロリアス・バスターズ)のみとフレッシュな顔ぶれ。であれば、キャリアによる有利不利はなく、よりシンプルに作品の力が結果を左右することになるだろう。そうなると、組合賞を含む前哨戦で他をリードした「ハート・ロッカー」が一歩抜きん出た感。「パルプ・フィクション」の超絶編集で実は受賞していないサリー・メンケに一票投じたい気もするが、前哨戦では「~ロッカー」に全敗と分が悪く、逆転までは厳しいか。
スティーヴン・リフキン、ジョン・ルフーア、ジェームズ・キャメロン(アバター) オスカー実績 ジェームズ・キャメロン ノミネート1回・受賞1回) 1997年 タイタニック(受賞) |
ジュリアン・クラーク(第9地区) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
◎ ボブ・ムラウスキー、クリス・イニス(ハート・ロッカー) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
○ サリー・メンケ(イングロリアス・バスターズ) オスカー実績 ノミネート1回・受賞0回 1995年 パルプ・フィクション(候補) |
ジョー・クロッツ(プレシャス) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |