ここはアカデミー賞に興味を持つすべての映画ファンのためのサイトです。1年間を通じてアカデミー賞の行方をウォッチします。
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 作品賞
 ヒューゴの不思議な発明 (パラマウント) ― 11部門(作品・監督・脚色・撮影・編集・美術・衣装・作曲・録音・音響編集・視覚効果)
 アーティスト (ワインスタイン・カンパニー) ― 10部門(作品・監督・主演男優・助演女優・脚本・撮影・編集・美術・衣装・作曲)
 マネーボール (ソニー・ピクチャーズ) ― 6部門(作品・主演男優・助演男優・脚色・編集・録音)
 戦火の馬 (ディズニー) ― 6部門(作品・撮影・美術・作曲・録音・音響編集)
 ファミリー・ツリー (フォックス・サーチライト) ― 5部門(作品・監督・主演男優・脚色・編集)
 ミッドナイト・イン・パリ (ソニー・ピクチャーズ・クラシックス) ― 4部門(作品・監督・脚本・美術)
 ヘルプ 心がつなぐストーリー (ディズニー) ― 3部門4賞(作品・主演女優・助演女優・助演女優)
 ツリー・オブ・ライフ (フォックス・サーチライト) ― 3部門(作品・監督・撮影)
 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(ワーナー) ― 2部門(作品、助演男優)
最多ノミネート「ヒューゴの不思議な発明」がフロントランナーに
最多11部門ノミネートの栄誉を勝ち取ったのは、マーティン・スコセッシが映画創世記の夢をマジカルに描くファンタジー「ヒューゴの不思議な発明」。前哨戦で独走した大本命「アーティスト」の10部門を上回り、一躍主役の座に躍り出た。「ヒューゴ~」は演技賞部門で候補を出せなかったのは苦しいところだが、スコセッシの監督賞をはじめ、撮影・編集・美術など技術賞部門でも活躍が期待できる。ライバルの「アーティスト」がフランス映画であること、また昨年「英国王のスピーチ」でオスカーを受賞したばかりのワインスタイン・カンパニー配給であることなどのマイナス要因を抱えていることを考えると、このまま「ヒューゴ~」受賞のシナリオがあっておかしくない。

作品賞ノミネート数9本はやはり多すぎる
作品賞部門は今年から5~10本の流動的なノミネート数になるとアナウンスされていたが、結果は9本のノミネートとなった。当落線上と見られていた「戦火の馬」「マネーボール」「ツリー・オブ・ライフ」がいずれもノミネートされたほか、前哨戦後半戦で失速し、事実上オスカー戦線から離脱したと思われていた「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」がまさかのサプライズ候補となった。「ものすごく~」は9.11の悲劇を少年の視点で語ったドラマで、繊細なテーマを扱う作品だけに賛否両論激しかったが、この作品をものすごく、ありえないほど好きな会員が多数いたということだろう。

9本というノミネート数だが、やはり少し多すぎる。今回は昨年ほど上位と下位の差がないので、選ばれるべくして選ばれた作品が並んだ印象だが、実質この中で作品賞受賞を争える作品は3作品程度であることを考えると、やはり9本という数は蛇足にも思える。来年また同じルールで候補作が決定するのかはわからないが、ぜひともルールの改正を期待したい。


 監督賞
 ウディ・アレン (ミッドナイト・イン・パリ)
 ミシェル・アザナヴィシウス (アーティスト)
 アレクサンダー・ペイン (ファミリー・ツリー)
 マーティン・スコセッシ (ヒューゴの不思議な発明)
 テレンス・マリック (ツリー・オブ・ライフ)
テレンス・マリック(ツリー・オブ・ライフ)が堂々のノミネート。監督組合賞(DGA)では無視されたが、やはり同業者たちからのリスペクトは厚かった。逆にDGAで候補になったデヴィッド・フィンチャー(ドラゴン・タトゥーの女)は落選。対象作が作品賞候補を逃していることを考えれば仕方のない結果だが、フィンチャーにとってみれば昨年の「ソーシャル・ネットワーク」でのショック再びというところだろう。


 主演男優賞
 ジョージ・クルーニー (ファミリー・ツリー)
 ジャン・デュジャルダン(アーティスト)
 ブラッド・ピット(マネーボール)
 デミアン・ビチル (A Better Life)
 ゲイリー・オールドマン (裏切りのサーカス)
サプライズ2連発。重要3賞(SAG,GG,BFCA)すべてでノミネートされていたレオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)が落選、また、有力視されていたマイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)も選から漏れた。代わりにノミネートされたのは、SAGにサプライズノミネートされたデミアン・ビチル(A Better Life)と、キャリア最高の演技と称賛されているゲイリー・オールドマン(裏切りのサーカス)。SAG候補のビチルはまだしも、前哨戦で思うように結果を残せていなかったオールドマンまでノミネートされるとは驚いた。


 主演女優賞
 ヴィオラ・デイヴィス (ヘルプ 心がつなぐストーリー)
 メリル・ストリープ (マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)
 ミシェル・ウィリアムズ (マリリン 7日間の恋)
 ルーニー・マーラ (ドラゴン・タトゥーの女)
 グレン・クローズ (アルバート・ノッブス)
こちらも波乱。ノミネート確実と思われたティルダ・スウィントン(少年は残酷な弓を射る)がまさかの落選。前哨戦でも着実に実績を重ねており、昨年も「ミラノ、愛に生きる」の熱演でオスカー候補直前までいっていただけに、今年のノミネートはまず堅いだろうと思っていたのだが・・・。
しかしながら、代わりにノミネートされたルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女)には拍手。「ソーシャル・ネットワーク」でも出番は短いながら印象的な演技を披露しており、イメージを180度転換した今回の演技はオスカー候補に値するものだ。


 助演男優賞
 ケネス・ブラナー (マリリン 7日間の恋)
 ジョナ・ヒル (マネーボール)
 ニック・ノルティ (Warrior)
 クリストファー・プラマー (人生はビギナーズ)
 マックス・フォン・シドー (ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)
SAGで落選した時点で嫌な予感はしていたが、アルバート・ブルックス(ドライヴ)がまさかの落選。前哨戦ではライバルとなるクリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)と互角以上の闘いを繰り広げていただけに、この落選は不当な気さえする。対象作の「ドライヴ」自体へのアカデミーの評価が低い(ノミネートは音響編集賞のみ)のも一因だろうが、この落選には関係者も驚きを隠せないだろう。
サプライズノミネートはマックス・フォン・シドー(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)。一切台詞を発しない役柄ながらも、エモーショナルでユーモラスな多彩な表情を見せるシーンスティラーとなっており、このノミネートには納得だ。
そして残念ながら、アンディ・サーキス(猿の惑星:創世記)のパフォーマンス・キャプチャー俳優として史上初の演技賞候補はならなかった。サーキスにはこれにめげず、パフォーマンス・キャプチャー俳優としての花道を歩んでいってほしいものだ。


 助演女優賞
 ベレニス・ベジョ (アーティスト) 
 ジェシカ・チャステイン (ヘルプ 心がつなぐストーリー)
 ジャネット・マクティア (アルバート・ノッブス)
 オクタヴィア・スペンサー (ヘルプ 心がつなぐストーリー)
 メリッサ・マッカーシー (Bridesmaids)
有力コンテンダーの中で涙を飲んだのは、シャイリーン・ウッドリー(ファミリー・ツリー)。若手に優しい助演女優賞でウッドリーはアドバンテージを持っていると思われたが・・・。昨夏大ヒットしたコメディー「Bridesmaids」で怪演を披露したメリッサ・マッカーシーが堂々のノミネート。強烈なインパクトを放っているようで、流れがむけば受賞争いにまで絡んでくるかもしれない。


 脚本賞
 ミシェル・アザナヴィシウス(アーティスト)
 ウディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)
 アスガー・ファルハディ(別離)
 クリステン・ウィグ、アニー・マモロ(Bridesmaids)
 J・C・チャンダー(マージン・コール)
イラン映画「別離」のアスガー・ファルハディがノミネート!作品、監督賞候補こそならなかったが、主要部門の一角である脚本賞でのノミネートは快挙だ。また、日本では残念ながら未公開でDVDスルーが決定している「マージン・コール」がサプライズノミネート。考え直して劇場公開してくれないものか。


 脚色賞
 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ(ファミリー・ツリー)
 アーロン・ソーキン、スティーヴン・ザイリアン(マネーボール)
 ジョン・ローガン(ヒューゴの不思議な発明)
 ブリジット・オコナー、ピーター・ストローガン(裏切りのサーカス)
 ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ、ボー・ウィルソン(スーパー・チューズデー 正義を売った日)
みんな大好きジョージ・クルーニーが主演男優賞部門に続き、脚色賞にもノミネート。対象作は自身4作目となる監督作で、脚本賞は監督2作目「グッドナイト&グッドラック」に続いて2回目のノミネートとなる。


 撮影賞
 ギョーム・シフマン(アーティスト)
 ジェフ・クローネンウェス(ドラゴン・タトゥーの女)
 ロバート・リチャードソン(ヒューゴの不思議な発明)
 エマニュエル・ルベツキ(ツリー・オブ・ライフ)
 ヤヌス・カミンスキー(戦火の馬)


 編集賞
 ミシェル・アザナヴィシウス、アン=ソフィー・ビオン(アーティスト)
 ケヴィン・テント(ファミリー・ツリー)
 カーク・バクスター、アンガス・ウォール(ドラゴン・タトゥーの女)
 セルマ・スクーンメイカー(ヒューゴの不思議な発明)
 クリストファー・テレフセン(マネーボール)


 美術賞
 ローレンス・ベネット、ロバート・グールド(アーティスト)
 スチュアート・クレイグ、ステファニー・マクミラン(ハリー・ポッターと死の秘宝Part2)
 ダンテ・フェレッティ、フランチェスカ・ロシアーヴォ(ヒューゴの不思議な発明)
 アン・サイベル、Hélène Dubreuil(ミッドナイト・イン・パリ)
 リック・カーター、リー・サンデイルス(戦火の馬)


 衣装デザイン賞
 リジー・クリストル(Anonymous)
 マーク・ブリッジス(アーティスト)
 サンディ・パウエル(ヒューゴの不思議な発明)
 マイケル・オコナー(ジェーン・エア)
 アリアンヌ・フィリップス(W.E.)


 作曲賞
 ルドヴィック・ブールス(アーティスト)
 ジョン・ウィリアムズ(戦火の馬)
 ジョン・ウィリアムズ(タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密)
 ハワード・ショア(ヒューゴの不思議な発明)
 アルベルト・イグレシアス(裏切りのサーカス)
ジョン・ウィリアムズが「戦火の馬」と「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」でWノミネート。まだまだ元気いっぱい。個人的にすばらしいと思った「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のアレクサンドル・デプラのスコアがノミネートされなかったのは残念。


 主題歌賞
 "Man or Muppet"(The Muppets)
 "Real in Rio"(ブルー 初めての空へ)
39のエントリー曲のうち、ノミネートされたのはたったの2曲。メアリー・J・ブライジが歌う「ヘルプ 心がつなぐストーリー」主題歌、エルトン・ジョンが歌う「Gnomeo and Juliet」主題歌、エルビス・コステロが歌う「One Day」主題歌など、授賞式を盛り上げること必至の人気者たちをバッサリ切り捨てるあたりはある意味潔い。ただし、この選曲では授賞式の主題歌パフォーマンスが盛り上がるとは思えず、授賞式プロデューサーを務めるブライアン・グレイザーも頭を抱えているのでは。


 メーキャップ賞
 アルバート・ノッブス
 ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙


 録音賞
 デヴィッド・パーカー、マイケル・セマニック、レン・クライス、ボー・パーソン(ドラゴン・タトゥーの女)
 トム・フライシュマン、ジョン・ミッドグレイ(ヒューゴの不思議な発明)
 デブ・アデアー、ロン・ボーチャー、デイヴ・ジアマルコ、エド・ノヴィック(マネーボール)
 グレッグ・P・ラッセル、ゲイリー・サマーズ、ジェフリー・J・ハボーシュ、ピーター・J・デヴリン(トランスフォーマー/ダークサイドムーン)
 ゲイリー・リドシュトロム、アンディ・ネルソン、トム・ジョンソン、スチュアート・ウィルソン(戦火の馬)


 音響編集賞
 ロン・ベンダー、ヴィクター・レイ・エニス(ドライヴ)
 レン・クライス(ドラゴン・タトゥーの女)
 フィリップ・ストックトン、ユージーン・ギアティ(ヒューゴの不思議な発明)
 イーサン・ヴァン・ダー・リン、エリック・アーダール(トランスフォーマー/ダークサイドムーン)
 リチャード・ハイムンズ、ゲイリー・リドシュトロム(戦火の馬)


 視覚効果賞
 ティム・バーク、デヴィッド・ヴィッカリー、グレッグ・バトラー、ジョン・リチャードソン(ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2)
 ロブ・レガート、ジョス・ウィリアムズ、ベン・グロスマン、アレックス・ヘニング(ヒューゴの不思議な発明)
 エリック・ナッシュ、ジョン・ローゼングラント、ダン・テイラー、スウェン・ギルバーグ(リアル・スティール)
 ジョー・レッテリ、ダン・レモン、R・クリストファー・ホワイト、ダニエル・バレット(猿の惑星:創世記(ジェネシス))
 スコット・ファラー、スコット・ベンザ、マシュー・バトラー、ジョン・フレイジャー(トランスフォーマー ダークサイド・ムーン)


 外国語映画賞
 Bullhead(監督:Michael R. Roskam/ベルギー)
 Monsieur Lazhar(監督:Philippe Falardeau/カナダ)
 別離(監督: アスガー・ファルハディ/イラン)
 Footnote(監督:ヨセフ・シダー/イスラエル)
 In Darkness(監督:アニエスカ・ホランド/ポーランド)


 長編アニメーション映画賞
 A Cat in Paris
 Chico & Rita
 カンフー・パンダ2
 長ぐつをはいたネコ
 ランゴ
アニメ映画界を牽引するピクサーのボス、ジョン・ラセターが監督した「カーズ2」が落選するという事故が発生。いつもピクサー作品を手放しで誉めそやす批評家たちも渋い顔をして、ピクサーはマーチャンダイジングに主軸をおく金儲けに走ったと揶揄された「カーズ2」は、オスカー落選というわかりやすい烙印で“ピクサー初の失敗作”を決定付けられてしまった。小さな子供と一緒に見るには申し分ない楽しい映画なのだが、やはりピクサー作品は大人が愛してやまないスタジオなのだ。


 短編アニメーション映画賞
 Dimanche/Sunday
 The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore
 La Luna
 A Morning Stroll
 Wild Life


 長編ドキュメンタリー映画賞
 Hell and Back Again
 もしもぼくらが木を失ったら
 Paradise Lost 3: Purgatory
 Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち
 Undefeated


 短編ドキュメンタリー映画賞
 The Barbar of Birmingham: Foot Soldier of the Civil Rights Movement
 God is the Bigger Elvis
 Incident in New Baghdad
 Saving Face
 The Tsunami and the Cherry Blossom


 短編実写映画賞
 Pentecost
 Raju
 The Shore
 Time Freak
 Tuba Atlantic



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