【第86回アカデミー賞最終予想】 助演女優賞、ジェニファー・ローレンス(アメリカン・ハッスル)の2度目はまだ早い!
前哨戦はジェニファー・ローレンス(アメリカン・ハッスル)とルピタ・ニョンゴ(それでも夜は明ける)が 熾烈な争いを演じたが、最終的には俳優 組合賞を制した後者が実績で一歩リードした。俳優組合賞は前哨戦の中でももっともオスカーとの直結度が高く、過去10年の受賞者のうち8人までがオスカー を受賞している。例外は07年のルビー・ディー(アメリカン・ギャングスター)と08年のケイト・ウィンスレット(愛を読むひと)だが、後者はアカデミー 賞では主演部門で受賞している。前者も功労賞的な意味合いが強く、俳優組合賞の受賞自体がフロック視されていたことを考えると、やはりここでの受賞はオス カーに直結すると考えるのが正しい。
ただし、今年の受賞者ルピタ・ニョンゴは今回の対象作がアメリカでの俳優デビューとなるまったくの新人。助演女優部門は新人の登竜門として若手にやさしい傾向にあるが、ケニア出身の無名女優に賞を授与する懐の深さを見せられるかどうか。
一方、アカデミー会員からの寵愛をほしいままにするジェニファー・ローレンスだが、さすがに去年受賞したばかりという事実は大きな得票の妨げになるだろう。まだ23歳のローレンスが受賞したら、史上もっとも若くして2つ目のオスカー像を受賞した俳優となる。
個人的には、演技面での評価ではジェニファー・ローレンスを上位にとりつつも、まだ2回目の受賞は時期尚早と見る。これだけ早い時期に栄誉にまみれてしまうことで彼女のキャリアが狂ってしまうことのないよう、今回は受賞しないでほしいというのが正直な気持ちだ。
ただ、それでもルピタ・ニョンゴ受賞にも納得がいかないので、もうひとりダークホースの存在を挙げてみる。「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」で主人公の妻を演じたベテラン女優ジューン・スキッブだ。 これまでのキャリアは賞レースにはまったくの無縁で、今回はじめてスポッ トライトが当たったと言っていいくらいの脇役女優。そんな彼女にこれだけオイシイ役を与えたアレクサンダー・ペイン監督もすごいが、それに応えたスキッブ もすごい。実際、この映画の見せ場をすべてさらうくらいのインパクトを残した。番狂わせがあるとしたら彼女だろう。
最終予想
◎ ルピタ・ニョンゴ(それでも夜は明ける)
○ ジェニファー・ローレンス(アメリカン・ハッスル)
▲ ジューン・スキッブ(ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅)