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[Weekend Report] 「エバン～」首位スタートもやや期待外れの出だし

03年夏興行で大本命と言われた「マトリックス・リローデッド」を1週間で首位の座から引きずりおろし、最終的に2億5000万ドル超を売り上げた大ヒットコメディ「ブルース・オールマイティ」の続編となる「エバン・オールマイティ」が初登場首位をゲットした。この続編、ユニークなことに前作で主人公ブルースのライバルだった意地の悪いキャスター、エバンが主役に昇格している。この珍しい形の“スピンオフ”が製作されることになった背景には、もちろんエバンを演じるスティーヴ・カレルの大ブレークがある。前作後、カレルは「40歳の童貞男」が1億ドル超の大ヒットとなって一躍時の人となり、さらに続く「リトル・ミス・サンシャイン」がアカデミー賞作品賞候補となって演技面でも高く評価された。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのカレルをハリウッドが放っておくはずもなく、続編に消極的だったジム・キャリーの後釜として抜擢されたのだ。

そのハリウッドの期待に応え、見事首位デビューを射止めたカレルだが、3日間で3200万ドルという数字は決して誉められるものではない。何しろ、前作はオープニング3日間だけで6700万ドルを売り上げたメガヒット作。売り上げたのがその半分以下では首位スタートも素直に喜べない。批評家からも厳しい評価が相次いでおり、次週以降は大きく数字を落としそうで、最低ラインの1億ドルクリアも危なくなってきたか。

スティーヴン・キング原作の短編を映像化した「1408」が予想を大きく上回る興収をあげて2位にランクイン。ジョン・キューザック扮する、超常現象を全く信じないベストセラー作家が、ゴーストが出ると噂の1408号室に泊まって事の真相を探ろうとする。ホテルのオーナー役にサミュエル・L・ジャクソン。
3日間興収は2000万ドルと、最近不振の続いていたこのジャンルとしては上出来。スターを擁しない作品としては破格のスタートに配給のMGMも喜びを隠せないだろう。批評家からの評価もマズマズで、次週以降も粘りの興行を展開できそう。前作「すべてはその朝始まった」の不評で評価を落としていたミカエル・ハフストーム監督にとっても起死回生の一発ということになりそうだ。

一方、カンヌ国際映画祭では鳴り物入りで公式上映された話題作「A Mighty Heart」は1355館で公開されるも、3日間でわずか400万ドルしか稼げず10位止まり。ブラピ製作、アンジェリーナ・ジョリー主演と話題性には事欠かずも、映画ファンを惹きつけるには至らなかったようだ。そもそも、映画の題材が中東で殺されたダニエル・パール記者と身重の妻の奮闘とあってはヒットは望むべくもない。オマケに今回、アンジーはその美しい容貌を褐色肌のメイクで封印しており、男性ファンにもアピールできない。この数字は当然というべきだろう。
とはいえ、批評家からはなかなかの高評価を獲得。カンヌでの不評で早々に賞レース脱落かと思われていたが、アンジーの主演女優賞をはじめとしてアカデミー賞参戦の目も少なからず出てきたか。

マイケル・ムーア監督の「シッコ」も1館限定で公開され7万ドルを売り上げる破格のスタート。次週から拡大公開されるが、やはりその興行力はかなりのものだ。YouTubeやGoogle Videoで映画全編が一時的に配布されるという“事件”が勃発したが、これも話題作りの一環か？ムーアの前作「華氏911」は異常ムードの中公開されてドキュメンタリー映画史上初の首位スタート、さらにトータル興収1億ドル突破と異例尽くめだったが、今回の新作もそれに及ばずともかなりの数字を記録しそうだ。

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