第92回アカデミー賞全部門ノミネーション予想

※◯がノミネート予想
※並びは前哨戦実績順

作品賞
parasite パラサイト 半地下の家族(Neon) ◯
作品・監督・助演男優・脚本・撮影・編集・美術・国際長編(8部門)
marriagestory マリッジ・ストーリー(Netflix) ◯
作品・主演男優・主演女優・助演女優・脚本・作曲(6部門)
once ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(ソニー・ピクチャーズ) ◯
作品・監督・助演男優・脚本・撮影・編集・美術・衣装・録音・音響編集(10部門)
irishtman アイリッシュマン(Netflix) ◯
作品・監督・助演男優・脚色・編集・視覚効果(6部門)
1917 1917 命をかけた伝令(ユニバーサル) ◯
作品・監督・撮影・美術・作曲・録音・音響編集・視覚効果(8部門)
jojo ジョジョ・ラビット(FOXサーチライト) ◯
作品・監督・助演女優・脚色・美術(6部門)
joker ジョーカー(ワーナー) ◯
作品・主演男優・編集・作曲・メイク(5部門)
littlewomen ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(ソニー・ピクチャーズ)
knivesout ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(ライオンズゲート) ◯
作品・脚本(2部門)
farewell フェアウェル(A24)
uncutgems アンカット・ダイヤモンド(A24)
dolemite ルディ・レイ・ムーア(Netflix)
fordvsferrari フォードvsフェラーリ(20世紀FOX) ◯
作品・主演男優・編集・録音・音響編集(5部門)
portrait Portrait of a Lady on Fire(Neon)
twopopes 2人のローマ教皇(Netflix)
rocketman ロケットマン(ユニバーサル)
考察① 今年のノミネート予想においてまずは議論されるべきトピックが、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が国際長編映画賞だけでなく、作品賞ほか主要部門でもノミネートされるのか?だ。前哨戦では堂々の最上位実績だが、アカデミー会員たちは言語の壁を超えて正当な評価を下すのか。結論から言えば、ノミネートまでは軽くクリアしそうな情勢だ。言わずもがな、昨年の「ROMA ローマ」が同じ条件を克服した実績も大きい。ただ、「ROMA ローマ」がすでにハリウッドでも実績豊富なアルフォンソ・キュアロン監督作であるのに対し、基本的にはドメスティックな舞台で実績を残してきたポン・ジュノ監督が同じように受け入れられるかは未知数。もし本当に作品賞ノミネートとなれば、それは昨年の「ROMA ローマ」以上の快挙だということは強調しておきたい
考察② 次に議論のポイントとなるのは、昨年に引き続きNetflix作品の取捨。昨年の「ROMA ローマ」は最多タイノミネートという高評価を受けたが、今年も「アイリッシュマン」「マリッジ・ストーリー」など有力作品は多い。その他「2人のローマ教皇」「ルディ・レイ・ムーア」も前哨戦では高評価されており、総合的には昨年以上のラインナップを揃えてきた。昨年、「ROMA ローマ」が作品賞受賞を逃したことで、やはりアカデミー会員の中には配信サービスに対するアレルギーを示す者が少なからずいるのではないかと囁かれたが、今年もやはりそのあたりが試されることになりそうだ。
考察③ 今年は何作品がノミネートされるのか?というのが3つ目のトピック。5パーセント以上の得票率を得た作品の中から5本から10本の間で選ばれるようルールが変更された第84回以降、ノミネート数は9,9,9,8,8,9,9,8。つまり8作品か9作品に落ち着く公算が高い。今年は作品が拮抗していることもあり、9作品がノミネートされるのではないか
考察④ 前哨戦実績からほぼ当確と思われるのは、「パラサイト 半地下の家族」「マリッジ・ストーリー」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「アイリッシュマン」「1917 命をかけた伝令」「ジョジョ・ラビット」「ジョーカー」の7作品。それぞれ滅多なことがないかぎり選漏れすることはなさそうだ。
考察⑤ 残る1〜2枠を争うのは「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」「フェアウェル」「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」「フォードvsフェラーリ」の4作品。前者2本は女性監督による作品なので、女性票を多く取り込むことになりそう。ただ、ボックスオフィスで大成功している後者2本のほうが優位なのも事実。特に演技部門と技術賞部門で多くのノミネートを受けそうな「フォードvsフェラーリ」が総合力で一歩抜け出していると見る。

監督賞
parasite ポン・ジュノ(パラサイト半地下の家族) ◯
irishman マーティン・スコセッシ(アイリッシュマン) ◯
dir_once クエンティン・タランティーノ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド) ◯
1917 サム・メンデス(1917 命をかけた伝令) ◯
marriagestory ノア・バームバック(マリッジ・ストーリー)
littlewomen グレタ・ガーウィグ(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語)
jojo タイカ・ワイティティ(ジョジョ・ラビット) ◯
uncutgems ベニー&ジョシュ・サフディ(アンカット・ダイヤモンド)
joker トッド・フィリップス(ジョーカー)
portrait セリーヌ・シアマ(Portrait of a Lady on Fire)
farewell ルル・ワン(フェアウェル)
painandglory ペドロ・アルモドヴァル(Pain and Glory)
fordvsferrari ジェームズ・マンゴールド(フォードvsフェラーリ)
考察① ポン・ジュノ(パラサイト 半地下の家族)ノミネートされれば、韓国人として史上初めての快挙となるが、前哨戦での他を寄せ付けぬ独走を考えれば快挙達成の可能性は高い。ほか、前哨戦実績で上位のスコセッシ、タランティーノ、メンデスまではおそらく順当にノミネートを受けるだろう。
考察② 残り1枠をめぐる争いは熾烈。前哨戦実績通りならノア・バームバック(マリッジ・ストーリー)だが、私生活のパートナーであるグレタ・ガーウィグ(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語)もほとんど差はない。近年、アカデミー会員の投票においてはダイバーシティ=多様性が富に意識されていることから、ガーウィグに票が集まるかもしれない。もしガーウィグがノミネートされれば2度の監督賞候補を受けた初めての女性となる
考察③ だが、もっとも重視すべきアメリカ監督組合賞(DGA)ではバームバック、ガーウィグを逆転してタイカ・ワイティティ(ジョジョ・ラビット)がノミネートされている。「マイティ・ソー/バトルロイヤル」というハリウッドのメインストリームでの実績もあるワイティティは業界内に支持者が多く、トロント国際映画祭観客賞のブランドも票につながりやすい。
考察④ ただ、DGAとアカデミー賞のノミニーが完全一致したのは1970年以降たったの5回と少なく、毎年1人は違うノミニーが生まれるのがセオリー。そうなるとワイティティの名前がアカデミー賞候補から消えるシナリオが一番現実的なのだが、上位4人のうち誰かが漏れる可能性もありそう。もしかして、Netflixで傑作を“作ってしまった”マーティン・スコセッシ(アイリッシュマン)が外されるサプライズがあるかも…!?

主演男優賞
marriagestory アダム・ドライバー(マリッジ・ストーリー) ◯
joker ホアキン・フェニックス(ジョーカー) ◯
uncutgems アダム・サンドラー(アンカット・ダイヤモンド)
painandglory アントニオ・バンデラス(Pain and Glory)
onceupon レオナルド・ディカプリオ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
rocketman タロン・エジャトン(ロケットマン) ◯
dolemite エディ・マーフィ(ルディ・レイ・ムーア)
fordvsferrari クリスチャン・ベール(フォードvsフェラーリ) ◯
irishman ロバート・デ・ニーロ(アイリッシュマン)
twopopes ジョナサン・プライス(2人のローマ教皇) ◯
knivesout ダニエル・クレイグ(ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密)
jojo ローマン・グリフィン・デイヴィス(ジョジョ・ラビット)
考察① ゴールデングローブ賞授賞式であまり格好がいいとは言えない受賞スピーチをかましてしまったホアキン・フェニックス(ジョーカー)。その影響が気になるところだが、ノミネートまでは問題なくクリアできるだろう。
考察② 逆に前哨戦最上位のアダム・ドライバー(マリッジ・ストーリー)は不安要素まったくなし。評価の分かれた「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」でもドライバーの熱演を疑う声は一切なく、さらに株を上げた印象。昨年の「ブラック・クランズマン」に続いて2年連続の候補は間違いない。
考察③ ノミネート当確はこの2人のみ。残る3席は意外な結果が出てもおかしくない。前哨戦上位のアダム・サンドラー(アンカット・ダイヤモンド)アントニオ・バンデラス(Pain and Glory)は、どちらも対象作品がマイナーという大きなハンデを背負う。さらサンドラーが同業からの評価を勝ち取るには、コメディー俳優というレッテルが大きな壁となって立ちはだかるだろう。過去にもジム・キャリーやエディ・マーフィなど同じ理由で涙をのんできたコメディー俳優は多い。
考察④ 作品力でアドバンテージがあるレオナルド・ディカプリオ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)だが、不安要素はある。「J・エドガー」以降の過去5作品で実に4回ゴールデングローブ賞ノミネートを受けているが、うちアカデミー賞までたどり着いたのは2回。特にタランティーノと組んだ「ジャンゴ 繋がれざる者」では共演のクリストフ・ヴァルツに見せ場を奪われ、ノミネートを逃している。今回もどちらかというと共演者ブラッド・ピットに注目が集まっており、「ジャンゴ」の再現となる可能性もある
考察⑤ 昨年のラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ)の再現を見ているかのような上昇カーブを描いているのがタロン・エジャトン(ロケットマン)。ゴールデングローブ賞を受賞してさらに注目度を高め、ノミネート圏内まで上り詰めてきた。アメリカ俳優組合賞(SAG)にもノミネートされており、初のオスカー候補となる可能性は高そう。
考察⑥ 今回も異常なまでの役作りを見せるクリスチャン・ベール(フォードvsフェラーリ)がノミネートされる確率は高い。「バイス」で演じた元副大統領とは違って知る人ぞ知る存在の実在レーサーを、そこまで似せる必要ある!?と驚くほど作りこんでくるのがベール流。5回目のオスカー候補が見えてきた。
考察⑦ ロバート・デ・ニーロ(アイリッシュマン)ジョナサン・プライス(2人のローマ教皇)のベテラン勢のどちらかが割り込んできてもおかしくない。デ・ニーロは「ジョーカー」での熱演も票につながる可能性がある。ただ、今回がキャリア上位の名演かと問われると辛いところで、その意味ではジョナサン・プライスの飄々とした演技に軍配を上げる会員も多そうだ。

主演女優賞
us ルピタ・ニョンゴ(アス) ◯
marriage スカーレット・ヨハンソン(マリッジ・ストーリー) ◯
judy レニー・ゼルウィガー(ジュディ 虹の彼方に) ◯
farewell オークワフィナ(フェアウェル) ◯
bombshell シャーリーズ・セロン(スキャンダル)
littlewomen シアーシャ・ローナン(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語)
harriet シンシア・エリヴォ(ハリエット) ◯
diane メアリー・ケイ・プレイス(Diane)
knivesout アナ・デ・アルマス(ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密)
hersmell エリザベス・モス(Her Smell)
midsommar フローレンス・ピュー(ミッドサマー)
考察① 前哨戦でトップを走るルピタ・ニョンゴ(アス)にこそ、実は最大の不安要素がある。昨年、「へレディタリー 継承」で前哨戦実績上位だったトニ・コレットがまさかの落選。オスカー候補にふさわしい熱演だったが、おそらく対象作がホラー映画という理由で涙をのんだ経緯がある。実際、ニョンゴはゴールデングローブ賞では選から漏れており、アカデミー賞でも同じことが起きても不思議ではない。ただ、個人的には「アス」公開当初から今年のオスカーはニョンゴだと思い続けてきただけに、最低でもノミネートはクリアしてほしい。
考察② 一方、前哨戦で二番手につけたスカーレット・ヨハンソン(マリッジ・ストーリー)は盤石。「アベンジャーズ エンドゲーム」でも見せ場をさらっており、2019年はキャリアハイと言っていいほどの充実ぶりだった。
考察③ ドラマ部門でゴールデングローブ賞を受賞したレニー・ゼルウィガー(ジュディ 虹の彼方に)もノミネートまでは問題なさそう。ただ、その受賞スピーチは評判いまひとつで少し味噌をつけてしまった感は否めない。逆にミュージカル/コメディ部門を制したオークワフィナ(フェアウェル)の受賞スピーチは素晴らしく、一気に株を上げた印象。ノミネート圏内まで上がってきたか。
考察④ シャーリーズ・セロン(スキャンダル)はさすがの存在感。実在のニュースキャスターを演じたが、セロン姐の力強さが作品全体を支配した。ただし、作品自体の評価が伸びていないことに足を引っ張られるかもしれない。
考察⑤ シアーシャ・ローナン(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語)は弱冠25歳にしてすでに3度のオスカー候補実績を持つ。グレタ・ガーウィグ監督と組んだ前作「レディ・バード」でもノミネートされており、4度目があってもおかしくない。
考察⑥ 最大の惑星はシンシア・エリヴォ(ハリエット)。映画出演の実績は少ないものの、ブロードウェイ劇「カラー・パープル」に主演して大絶賛され、トニー賞など数々の賞を受賞。注目度は高い。また、今回対象作で演じているのが、アフリカ系アメリカ人として初めてアメリカドル紙幣にデザインされることが決まっている偉人というのも大きなプラス。ダイバーシティの観点からも票が集まりやすいだろう。

助演男優賞
onceupon ブラッド・ピット(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド) ◯
irishman ジョー・ペシ(アイリッシュマン) ◯
abeautiful トム・ハンクス(A Beautiful Day in the Neighborhood) ◯
irishman アル・パチーノ(アイリッシュマン)
lighthouse ウィレム・デフォー(The Lighthouse) ◯
twopopes アンソニー・ホプキンス(2人のローマ教皇)
parasite ソン・ガンホ(パラサイト 半地下の家族) ◯
honeyboy シャイア・ラブーフ(Honey Boy)
justmercy ジェイミー・フォックス(黒い司法 0%からの奇跡)
dolemite ウェズリー・スナイプス(ルディ・レイ・ムーア)
考察① ノミネート当確はブラッド・ピット(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)ジョー・ペシ(アイリッシュマン) 。おそらく受賞争いもこの2人に絞られることになりそうで、よほどのことがない限り彼らがノミネートから漏れることはないだろう。
考察② このところ惜しいところでオスカー候補を逃し続けているのがトム・ハンクス(A Beautiful Day in the Neighborhood)。気がついてみれば2000年の「キャスト・アウェイ」以降、一度もノミネートされていない。すでに2度の受賞実績があることも足枷になっているだろうが、最大の問題はどんな役でもトム・ハンクスに見えてしまうことかもしれない。その意味では、今回の対象作で演じた実在のテレビ司会者フレッド・ロジャースは、ハンクス自身のイメージにも通じるところが多く、逆に言えばハンクスにしか演じられないはまり役。監督のマリエル・ヘラーは昨年も「ある女流作家の罪と罰」で2人のキャストをオスカー候補に送り込んでおり、ハンクスに久々のオスカー候補をプレゼントするかもしれない。
考察③ ハリウッドでは無名ながら、作品が圧倒的な高評価を受けるソン・ガンホ(パラサイト 半地下の家族)がノミネートを勝ち取る可能性は決して低くない。実質的には主演と言っていい役柄であるのに加え、演技的な見せ場も多く、ガンホの持ち味も十二分に発揮されている。今回、この部門のフロントランナーとして名前が挙がっている面々がハリウッドを代表するベテラン勢ばかりなのも、逆にガンホへの得票の助けになるかもしれない。
考察④ ウィレム・デフォー(The Lighthouse)は今回ノミネートされれば3年連続の快挙となる。過去、3度助演男優賞の候補に挙がっているが、毎回本命視されながら惜しいところでオスカーを逃している。実績豊富なベテランだけに同業者からの支持も厚く、3年連続の候補があるかもしれない。対象作品がマイナーという不安要素を払拭できるか。
考察⑤ 取捨が難しいのがアル・パチーノ(アイリッシュマン)。重要前哨戦の3賞(SAG、ゴールデングローブ賞、ブロードキャスト映画批評家賞)すべてにノミネートされている実績からすれば当確ラインなのだが、共演のジョー・ペシにより大きな賛辞が送られていることは得票に大きな影響がありそう。スコセッシとの夢の初コラボという胸アツな要素はあるものの、決してキャリアベストではない今回の演技にどこまで支持が集まるか。ただ、パチーノも初受賞を果たした92年「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」以降、一度もノミネートされていないことを考えると…?

助演女優賞
marriagestory ローラ・ダーン(マリッジ・ストーリー) ◯
hustlers ジェニファー・ロペス(ハスラーズ)
littlewomen フローレンス・ピュー(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語) ◯
bombshell マーゴット・ロビー(スキャンダル) ◯
jojo スカーレット・ヨハンソン(ジョジョ・ラビット) ◯
farewell チャオ・シューチェン(フェアウェル)
richardjewell キャシー・ベイツ(リチャード・ジュエル)
thereport アネット・ベニング(ザ・レポート) ◯
bombshell ニコール・キッドマン(スキャンダル)
dolemite ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(ルディ・レイ・ムーア)
onceupon マーゴット・ロビー(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
jojo トーマサイン・マッケンジー(ジョジョ・ラビット)
parasite チョ・ヨジョン(パラサイト 半地下の家族)
考察① 実はアカデミー協会の会長選挙にも推薦されてしまうほど業界内で力を持っているのがローラ・ダーン(マリッジ・ストーリー)。だからといって票が集まるということでもないが、前哨戦でも他を寄せ付けない独走を見せたのだから、ノミネートを逃すことはありえない。
考察② 前哨戦で二番手につけたのは意外やジェニファー・ロペス(ハスラーズ)。過去8度のラジー賞候補実績を持つロペスがまさかアカデミー賞戦線を賑わせることになるとは誰が予想しただろうか。対象作「ハスラーズ」は決してアカデミー賞を意識して作られたものではなく、役柄とロペスの魅力がマッチした結果が評価に結びついているのが素晴らしい。ただし、同業者たちが素直にロペスに投票するかどうかはあやしいところ。コメディー俳優、アクション俳優などなど色のついた存在を冷笑してきた過去を持つアカデミー賞だけに、ロペスがその洗礼から逃れられるとは思えない。今回は主要前哨戦3賞(SAG、ゴールデングローブ賞、ブロードキャスト映画批評家賞)すべてにノミネートされており、これでオスカー候補を逃したら本来ならビッグサプライズだが…。
考察③ 同じく主要前哨戦3賞すべてにノミネートされているマーゴット・ロビー(スキャンダル)はその点まったく心配がない。一昨年の「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」以来、2度目の候補となる可能性は高い。唯一の不安材料は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」との票割れだが、前哨戦の結果からも「スキャンダル」に票が集まることになりそう。
考察④ フローレンス・ピュー(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語)は、来年5月公開の「ブラック・ウィドウ」でMCU入りしている若き新星。助演女優賞部門はこうした若い才能を発掘してきた実績があり、今回のピューは先物買いの欲求を満たすには最適な存在と言える。前哨戦実績でも堂々の3番手で、むしろ落選するほうがサプライズと言っていい。
考察⑤ 主演女優賞とのダブルノミネートを狙うスカーレット・ヨハンソン(ジョジョ・ラビット)も有力。何しろ映画で演じている役柄が魅力的なのが大きなプラス。ヨハンソンの演技力と魅力もさることながら、映画の中の彼女に投票したくなる気持ちが芽生えてもおかしくない。
考察⑥ 最後の椅子を争うのはチャオ・シューチェン(フェアウェル)キャシー・ベイツ(リチャード・ジュエル)アネット・ベニング(ザ・レポート)の3人と予想。正直、作品を未見のチャオ・シューチェンはまったくの未知数。ただ、前哨戦の結果だけで判断するなら、彼女のノミネートがもっとも可能性が高い。
知名度およびオスカー受賞でリードするキャシー・ベイツは、対象作で無実の罪を着せられる息子を激励する母親を演じており、役柄上の好感度が高い。ただし、役柄の強さで言うなら、アネット・ベニングのほうが優位か。出番は決して多くないものの、作品のメッセージを代弁するかのような強い女性像を演じた。ベニング自身がまだオスカー無冠という事実も5度目のノミネートを後押しするのではないか。
考察⑦ 最大のサプライズがあるとしたら、チョ・ヨジョン(パラサイト 半地下の家族)のノミネート。半地下の家族に食い物にされる金持ち一家のお人好しな夫人を演じた。昨年、作品賞部門で有力視されていた「ROMA ローマ」から無印のマリーナ・デ・タヴィラがノミネートされたことは記憶に新しく、その再現があるとすればチョ・ヨジョンということになるだろう。

脚本賞
マリッジ・ストーリー ◯
パラサイト 半地下の家族 ◯
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 ◯
フェアウェル ◯
Booksmart
アンカット・ダイヤモンド
アス
Pain and Glory
フォードvsフェラーリ
考察
前哨戦実績上位の「マリッジ・ストーリー」「パラサイト 半地下の家族」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」は当確。残る1枠は「フェアウェル」の可能性がもっとも高いが、「Booksmart」「アンカット・ダイヤモンド」の逆転も十分にある。

脚色賞
アイリッシュマン ◯
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 ◯
ジョジョ・ラビット ◯
A Beautiful Day in the Neighborhood ◯
ジョーカー
2人のローマ教皇
ハスラーズ ◯
Dark Waters
Luce
The Lighthouse
考察
個性的な作品が集まり混戦模様の脚色賞部門。「アイリッシュマン」「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」「ジョジョ・ラビット」までは当確か。「A Beautiful Day in the Neighborhood」、「ジョーカー」、「2人のローマ教皇」の3作品が続く上位だが、女流監督ローリーン・スカファリアによる「ハスラーズ」に逆転チャンス。

撮影賞
1917 命をかけた伝令 ◯
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
The Lighthouse ◯
Portrait of a Lady on Fire ◯
アイリッシュマン
ジョーカー
フォードvsフェラーリ
アド・アストラ
パラサイト 半地下の家族 ◯
Honey Boy
名もなき生涯
ミッドサマー
ロケットマン
考察
名匠ロジャー・ディーキンス(1917 命をかけた伝令)が前哨戦を圧勝。このまま2度目のオスカー受賞となる可能性は高い。こちらも名匠ロバート・リチャードソンによる「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も当確ライン。
前哨戦実績上位の「The Lighthouse」は作品がマイナーだが、昨年は2本の外国語映画がノミネートされていることを考えれば不安視する必要はなさそう。35ミリフィルム、モノクロ、ほぼ真四角の画角(アスペクト比1.19:1)など常識破壊の映像はインパクト強烈で票が集まりやすそう。
注目はフランス映画「Portrait of a Lady on Fire」。女流撮影監督クレール・マトンがこの部門で女性として史上2人目のノミネートを勝ち取るシーンを期待したい。
「パラサイト 半地下の家族」は前哨戦実績こそ劣るものの、作品人気で逆転も。実績上位には「アイリッシュマン」「ジョーカー」など強敵が多いが、撮影監督ホン・ギョンピョは昨年、国際的にも高評価された「バーニング 劇場版」も手がけているだけに、十分チャンスあり。

編集賞
フォードvsフェラーリ ◯
アイリッシュマン ◯
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
1917 命をかけた伝令
アンカット・ダイヤモンド
パラサイト 半地下の家族 ◯
アポロ11 完全版
マリッジ・ストーリー
ジョーカー ◯
ロケットマン
The Lighthouse
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
ジョジョ・ラビット
考察
作品賞との直結度が高いとされる編集賞。2009年の第82回から作品賞候補が6作品以上に拡大されて以降の10年で、作品賞と完全一致しなかった年は3回しかない。つまり、作品賞部門でノミネートを有力視されていない作品が編集賞ノミネートを受けるのは稀ということ。過去の例外は2017年の「ベイビー・ドライバー」「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」、2015年の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、そして2011年の受賞作「ドラゴン・タトゥーの女」のみ。
前哨戦で最上位の実績を残したのは「フォードvsフェラーリ」。作品賞部門ではそれほど有力視されていないが、編集賞部門で有力視されているということは、逆に言えば作品賞部門のノミネートは可能性が高いと言えるかもしれない。
近年の受賞作の傾向を見ると、細かいカットをつないでテンポよく物語をドライブさせる編集が高く評価されている。その点、じっくりと時間をかけた「アイリッシュマン」がどう評価されるのかは予想が難しい。
ワンカット撮影が話題の「1917 命をかけた伝令」だが、同じ売り込み文句で作品賞を受賞した「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が編集賞ノミネートを逃しているのは気になるデータ。実際には編集における役割も大きいはずだが、細かくカットをつなぐ編集が評価されやすい近年の傾向からすると、不利なのかもしれない。

美術賞
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
1917 命をかけた伝令 ◯
パラサイト 半地下の家族 ◯
アイリッシュマン
ジョーカー
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密
フォードvsフェラーリ
ジョジョ・ラビット ◯
アド・アストラ
アス
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
アラジン ◯
アベンジャーズ エンドゲーム
ダンボ
マレフィセント2
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
A Beautiful Day in the Neighborhood
ジョン・ウィック パラベラム
マザーレス・ブルックリン
ルディ・レイ・ムーア
ダウントン・アビー
2人のローマ教皇
ミッドサマー
アンカット・ダイヤモンド
考察
直結度が高い組合賞はコンテンポラリー(現代劇)、ピリオド(史劇)、ファンタジーの3部門に分かれているが、このうちアカデミー賞に絡みやすいのはピリオドとファンタジー。近年の受賞作を見るとややファンタジーに分があるか。
前哨戦でもっとも実績を残したのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。ピリオドにカテゴライズされる本作だが、69年当時のハリウッドを再現した数々のセットはアカデミー会員にも懐かしく映るはずで、心情込みで得票に繋がりやすいだろう。
昨年の受賞作「ブラックパンサー」のように、世界各地の文化を反映させた美術が高く評価される傾向にある。今年は「アラジン」の美術がそれにもっとも当てはまりそうだが、傑作判定済みのアニメ作品の影響を色濃く受けているだけに、オリジナリティという面では評価が割引されるかもしれない。

衣装デザイン賞
ルディ・レイ・ムーア ◯
ロケットマン ◯
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
ダウントン・アビー
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 ◯
ジョジョ・ラビット
ハスラーズ
Queen & Slim
アラジン ◯
アベンジャーズ エンドゲーム
キャプテン・マーベル
マレフィセント2
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
A Beautiful Day in the Neighborhood
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密
ザ・ランドロマット パナマ文書流出
ジョーカー
アイリッシュマン
ジュディ 虹の彼方に
Portrait of a Lady on Fire
考察
美術賞とセットで語られることも多いが、ノミネート作品の一致率はそれほど高くない。こちらも美術賞と同様、組合賞は3つのカテゴリーに分かれているが、この部門ではピリオドとファンタジーの実績が拮抗している。
前哨戦で最上位実績となったのはNetflix作品「ルディ・レイ・ムーア」。70年代LAのド派手で綺羅びやかな衣装が再現されており、見た目にも楽しい。ほか、「ロケットマン」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も当時の空気を絶妙に再現しており、ノミネートの可能性は高い。今年はピリオドのカテゴリーが強そうな気配。
ファンタジーからは「アラジン」が最有力。MCUから「アベンジャーズ エンドゲーム」「キャプテン・マーベル」の2作品がエントリーしているが、昨年の「ブラックパンサー」以外では実績がなく、ノミネートまでたどり着くのは難しそうだ。

作曲賞
1917 命をかけた伝令 ◯
ジョーカー ◯
マリッジ・ストーリー ◯
アス ◯
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 ◯
ジョジョ・ラビット
マザーレス・ブルックリン
フォードvsフェラーリ
アベンジャーズ/エンドゲーム
スキャンダル
フェアウェル
アナと雪の女王2
キング
Pain and Glory
考察
アカデミー賞9度受賞の偉大なる作曲家アルフレッド・ニューマンを父に持つサラブレッド、トマス・ニューマン(1917 命をかけた伝令)が初オスカーのチャンス。これまで実に14度のノミネートを受けながら未だ無冠と冷遇されてきたが、前哨戦では堂々の最上位実績。15度目の正直なるかに注目が集まる。
そのトマスの10歳年上となる従兄ランディ・ニューマン(マリッジ・ストーリー)も長らくオスカー像に手が届かなかったひとり。「モンスターズ・インク」で主題歌賞を受賞するまで14度のチャンスを逃してきた。偉大なファミリーに育ってきた2人が同じ舞台で賞を争い、結果トマスが従兄と同じ15度目のチャンスをモノにするようなことになれば、まさに感動的なドラマだ。
ゴールデングローブ賞を制したヒドゥル・グドナドッティル(ジョーカー)もノミネートは間違いないだろう。トマス・ニューマンの受賞を阻むとすればこの作品か。
一度聴いたら耳から離れない鮮烈なメロディを想像したマイケル・アベルズ(アス)もノミネート圏内。あのスピルバーグがジョーダン・ピール監督に“彼は君にとってのジョン・ウィリアムズだ。絶対手放しちゃいけない”とアドバイスしたというから、相当な才能だ。
残る1席を争うのはこの部門の常連アレクサンドル・デスプラ(ストレンジャー・シングス わたしの若草物語)マイケル・ジアッキーノ(ジョジョ・ラビット)。前哨戦実績上位の王道「ストーリー・オブ・マイライフ〜」と、第二次世界大戦の時代を描く映画にビートルズの楽曲を採用するなど野心的な挑戦が面白い「ジョジョ・ラビット」。どちらも甲乙つけがたく、予想は難しい。

主題歌賞
“I’m Gonna Love Me Again”(ロケットマン) ◯
“Into the Unknown”(アナと雪の女王2) ◯
“Stand Up”(ハリエット) ◯
“Spirit”(ライオン・キング) ◯
“Glasgow (No Place Like Home)”(ワイルド・ローズ) ◯
“Speechless”(アラジン)
“Catchy Song”(レゴ®ムービー2)
“I’m Standing With You”(Breakthrough)
“Letter to My Godfather”(ブラック・ゴッドファーザー:クラレンス・アヴァントの軌跡)
“Da Bronx”(The Bronx USA)
“Never Too Late”(ライオン・キング)
“Daily Battles”(マザーレス・ブルックリン)
“A Glass of Soju”(パラサイト 半地下の家族)
“High Above the Water”(Toni Morrison: The Pieces I Am)
“I Can’t Let You Throw Yourself Away”(トイ・ストーリー4)
考察
もっともポピュラーなら“Into the Unknown”(アナと雪の女王2)の独壇場と思いきや、前哨戦でもっとも支持を集めたのは“I’m Gonna Love Me Again”(ロケットマン)の方。エルトン・ジョンが自ら映画のために書き下ろした新作とあって、アカデミー会員もおいそれと無視はできないだろう。
近年、この部門はエンドロールだけで流されるような曲、すなわち物語に直接的に関係しない楽曲はノミネート資格を得られなくなった。ここ数年の受賞作「ラ・ラ・ランド」「リメンバー・ミー」「アリー/スター誕生」を見ても、物語における楽曲の重要性が高いほど評価を受けやすいのは明らか。その意味では、物語の中で登場人物たちが高らかに楽曲を歌う「アナと雪の女王」や「アラジン」などディズニー作品の楽曲は有利と言える。
また、主演俳優たちが自ら抜群の歌唱力で楽曲を歌い上げる「ロケットマン」「ハリエット」「ワイルド・ローズ」も有力。前哨戦で善戦した「ハリエット」「ワイルド・ローズ」は作品がマイナーなのが大きなハンデだが、楽曲と歌唱力で堂々のノミネートもありうる。

メイクアップ&ヘアスタイリング賞
ジョーカー ◯
ロケットマン ◯
スキャンダル ◯
ルディ・レイ・ムーア
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ダウントン・アビー
ジュディ 虹の彼方に
1917 命をかけた伝令
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
マレフィセント2
考察
過去2回の受賞作(「バイス」「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」)はともに有名俳優を実在の人物に寄せていく特殊メイクアップが強くアピールした。今年は「スキャンダル」でジョン・リスゴーを実在した大物ロジャー・エイルズに極限まで近づけた技は大いに評価されるだろう。
また、「ロケットマン」のタロン・エジャトン→エルトン・ジョンは特殊メイクアップに頼る部分は少ないものの、後退する生え際や不健康な肌質など、物語にリアリティを与えるのにメイクアップが絶大な効果を発揮している。
メイクアップで作られた仮面こそが作品の主役とも言える「ジョーカー」も当然圏内。ホアキン・フェニックスの怪演を引き出すのにあのメイクアップがいかに貢献したかは想像に難くない。

録音賞
フォードvsフェラーリ ◯
アイリッシュマン
ジョーカー
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
ロケットマン ◯
1917 命をかけた伝令 ◯
アポロ11 完全版
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ◯
ルディ・レイ・ムーア
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
キャッツ
ジュディ 虹の彼方に
パラサイト 半地下の家族
考察
昨年は「ボヘミアン・ラプソディ」が録音、音響編集の両部門を制したように、ライブシーンを含む音楽映画はノミネートされやすい傾向にある。今年それに該当するのは「ロケットマン」。ライブシーンも盛りだくさんで、受賞まで最有力と言っていい。
一昨年の受賞作「ダンケルク」のように、撮影現場での臨場感ある音が映画の主役たりうる作品も強い。今年は「1917 命をかけた伝令」「フォードvsフェラーリ」がその傾向に一致する作品と言えそうだ。
一方で、SF作品「スター・ウォーズ」シリーズもこの部門で存在感を発揮。「フォースの覚醒」「最後のジェダイ」ともにノミネートされていることから、グランドフィナーレを飾る「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」もまたノミネートまでは辿り着けそう。

音響編集賞
1917 命をかけた伝令 ◯
アベンジャーズ エンドゲーム
フォードvsフェラーリ ◯
名もなき生涯
ジョン・ウィック パラベラム
ジョーカー
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ◯
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ◯
アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
ロケットマン ◯
アド・アストラ
ルディ・レイ・ムーア
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
キャッツ
ジュディ 虹の彼方に
パラサイト 半地下の家族
考察
録音賞と音響編集賞はノミネート作品が一致する確率が高い。過去5年で見ると、その一致率は80%。5作品中4作品は一致する計算となる。
新たな音を作り出すという意味においては「アベンジャーズ エンドゲーム」が有力そうに見えるが、なぜかMCU作品はこの部門で過去1度もノミネート実績がない。ここまでわかりやすく無視されていると、区切りの記念碑的作品とはいえノミネート入りは難しいとみるのが妥当。

視覚効果賞
アベンジャーズ エンドゲーム ◯
アリータ:バトル・エンジェル
1917 命をかけた伝令 ◯
アイリッシュマン ◯
ライオン・キング
ジェミニマン ◯
キャプテン・マーベル
キャッツ
ターミネーター:ニュー・フェイト
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け ◯
考察
ここ10年のトレンドは“リアル路線”。昨年の受賞作「ファースト・マン」に代表されるように、ファンタジックな映像マジックよりも、視覚効果によって生み出されるリアルな映像が好まれる傾向にある。それに当てはまるのは「1917 命をかけた伝令」「アイリッシュマン」、そして若き日のウィル・スミスを作り出した「ジェミニマン」あたり。技術的に目立ったトピックのあるこの3作品は票を集めやすいと見る。
グランドフィナーレを迎えた記念碑的な2本「アベンジャーズ エンドゲーム」「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」もノミネートまではたどり着けるか。視覚効果の代名詞とも言える「スター・ウォーズ」シリーズだが、83年「ジェダイの復讐」以来この部門での受賞はないが、毎回どうにかノミネートまでは勝ち取っている。

国際長編映画賞
parasite パラサイト 半地下の家族(韓国) ◯
painandglory Pain an Glory(スペイン) ◯
atlantics アトランティックス(セネガル) ◯
lesmiserables レ・ミゼラブル(フランス) ◯
truceandjustice Truth and Justice(エストニア)
beanpole Beanpole(ロシア)
paintedbird ペインテッド・バード(チェコ)
corpuschristi Corpus Christi(ポーランド) ◯
thosewho Those Who Remained(ハンガリー)
honeyland Honeyland(北マケドニア)
考察① 外国語映画賞から国際長編映画賞(Best International Feature Film)と名称が変更された同部門だが、ノミネート発表前に早くも大勢は決してしまっている。昨年の「ROMA ローマ」同様、作品賞部門でも本命視される「パラサイト 半地下の家族」(韓国)が一本かぶりの人気。他作品は相手が悪かったというほかない。
考察② ペドロ・アルモドバル監督の半自伝的作品「Pain and Glory」(スペイン)も例年なら堂々の主役を張ってもおかしくない存在だが、今年ばかりは離れた二番手を追走するのが精一杯か。ともあれ、監督の知名度も手伝いノミネートまでは固そうだ。ノミネートされれば、1999年の「オール・アバウト・マイ・マザー」以来20年ぶりとなる。
考察③ カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「アトランティックス」(セネガル)も有力。今年、授賞式が早まったせいで会員にとっては作品チェックの時間が短い。そんな中、Netflixで気軽に視聴できる作品はそれだけで有利と言える。もちろん作品自体もユニークな魅力にあふれていて、ノミネートにふさわしい。
考察④ 同じく昨年のカンヌで審査員賞を受賞した「レ・ミゼラブル」(フランス)も強い。フランス代表は過去最多の37度にわたってこの部門のノミネート作品を輩出しているという実績も強力に後押しする。
考察⑤ 残り1枠だが、国際映画祭への出品実績に乏しい「Truth and Justice」(エストニア)「Those Who Remained」(ハンガリー)、長編ドキュメンタリー映画賞にもエントリーしている「Honeyland」(北マケドニア)は割引が必要。残るロシア、チェコ、ポーランドの争いは、ノミネート実績で11回とリードするポーランド=「Corpus Christi」に軍配か。

長編アニメーション映画賞
toystory4 トイ・ストーリー4(ディズニー) ◯
missinglink ミッシング・リンク(ユナイテッド・アーティスツ) ◯
ilostmybody 失くした体(Netflix) ◯
howtotrainyourdragon ヒックとドラゴン 聖地への冒険(ユニバーサル) ◯
frozen2 アナと雪の女王2(ディズニー) ◯
klaus クロース(Netflix)
abominable Abominable(ユニバーサル)
tenkinoko 天気の子
addamsfamily The Addams Family
kaiju 海獣の子供
dilili ディリリとパリの時間旅行
anime_lego2 レゴ®ムービー2
wakaokamim 若おかみは小学生!
promare プロメア
anime_pets2 ペット2
spiesindisguise Spies in Disguise
考察① 2001年に創設されて以降の19回で、日本製アニメがノミネートされたのは7回。ノミネート率はかなり高いと言っていいが、昨年の「未来のミライ」を除いてすべてスタジオジブリの作品という情報は付け加えておくべきだろう。今年も日本からは4本のアニメが出品されているが、もっとも有力なのはやはり「天気の子」か。ただし、日本では140億円を超える特大ヒット作品も、アメリカではろくに公開もされていないような状況で、新海誠監督の知名度もまだまだ低い。前作「君の名は。」もノミネートを逃しており、前途洋々とは言い難い。
考察② 前哨戦実績最上位の「トイ・ストーリー4」、ゴールデングローブ賞を制した「ミッシング・リンク」は当確ライン。前2作もノミネートされている「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」も有力だろう。「アナと雪の女王2」はその知名度ほど強いコンテンダーではないが、アニメ史上最高ヒット作となった話題性を考えれば、ノミネートを外すことは考えにくい。
考察③ 残る1枠を争うのは2本のNetflix作品「失くした体」「クロース」、ユニバーサル製アニメ「Abominable」あたりか。個人的には芸術性に優れ、詩情もたっぷりな傑作「失くした体」を推したい。

短編アニメーション映画賞
Dcera (Daughter)
Hair Love ◯
He Can’t Live without Cosmos
Hors Piste
Kitbull ◯
Memorable
Mind My Mind ◯
The Physics of Sorrow ◯
Sister ◯
Uncle Thomas: Accounting for the Days

長編ドキュメンタリー映画賞
apollo11 アポロ11 完全版(Neon) ◯
americanfactory アメリカン・ファクトリー(Netflix) ◯
honeyland Honeyland
forsama 娘は戦場で生まれた(PBS) ◯
onechildnation 一人っ子の国(Amazon Studios) ◯
thecave The Cave
biggestlittlefarm ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(Neon) ◯
advocate Advocate(Film Movement)
maiden Maiden
knock レボリューション 米国議会に挑んだ女性たち(Netflix)
aquarela Aquarela
democracy ブラジル 消えゆく民主主義
greathack グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル
doc_midnight Midnight Family
考察① 昨年は前哨戦実績最上位の2作品がそろってノミネートを逃しており、前哨戦の結果があまり反映されないので予想が難しい。今年の前哨戦を圧勝したのは日本での劇場公開済みの「アポロ11 完全版」だが、ノミネートを逃すことも十分に考えられる。
考察② 今年、この部門で気を吐いているのが新興配給会社のNeon。「アポロ11 完全版」をはじめ、北マケドニアの国際長編映画賞代表にも選ばれている「Honeyland」、トロント国際映画祭で話題を呼んだ「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」がそろってノミネート圏内に名を連ねる。前哨戦実績では劣るものの、アカデミー会員に好まれそうなのは「ビッグ・リトル・ファーム〜」。一昨年に起きた北カリフォルニアの大規模な山火事の映像も含まれるなど、いまそこにある環境問題に踏み込む内容はまさにタイムリー。逆転ノミネートの可能性は高い。

短編ドキュメンタリー映画賞
After Maria
Fire in Paradise ◯
Ghosts of Sugar Land ◯
In the Absence
Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl)
Life Overtakes Me
The Nightcrawlers ◯
St. Louis Superman ◯
Stay Close ◯
Walk Run Cha-Cha

短編実写映画賞
Brotherhood ◯
The Christmas Gift
Little Hands ◯
Miller & Son ◯
Nefta Football Club
The Neighbors’ Window ◯
Refugee ◯
Saria
A Sister
Sometimes, I Think about Dying