血沸き肉踊る“人間狩り”を堪能しよう — 「アポカリプト」レビュー
ギブソン監督作品だけにキリスト教の描き方うんぬんが議論されそうだが、映画を見ていると彼の関心事はもっと別にあるような気がしてならない。彼はただ、特有のアクの強い残虐描写が批判を浴びない舞台設定を求めているだけなのでは?(もしそうだとしたらその設定の選択は誤っているわけだが……)
とにかく地味にありえない映像が繰り返される後半のチェイスシーンは必見。前半の漫画な描写も後半の血沸き肉踊る“人間狩り”を堪能するための準備として我慢しよう。確かな技術に裏打ちされたレベルの高いアクションシーンはやたらと金をかけたCG大作では到底得られない興奮をもたらしてくれる。
無名キャストが演じるキャラクターに命を与えるための工夫など、ギブソンは映画の見せ方がうまく、選ぶ題材の割にその視点は常に観客寄りで好感が持てる。