[Weekend Report] ピクサー新作に批評家絶賛も興行は出遅れ?
昨年夏に公開された「カーズ」が期待ほどの興収をあげられず、あげくの果てにアカデミー賞長編アニメ映画賞を踊るペンギンにさらわれるという屈辱を味わったCGアニメ界の王者ピクサーが、新作「レミーのおいしいレストラン」で早くも名誉挽回だ。ピクサー作品の中でも一番の傑作と名高い「Mr.インクレディブル」を手がけたブラッド・バード監督の最新作となる本作に、公開直後から批評家の絶賛評が鳴り止まない。早くも来年のアカデミー賞長編アニメ賞受賞は確実とされ、これまでのピクサー作品でもベストと評価する声も少なくない。
ただ、オープニング3日間で4700万ドルと興収面ではやや出遅れ気味。「カーズ」の6000万ドル、「Mr.インクレディブル」の7000万ドルと比較するとかなり淋しく映る。出来のよさから息の長いヒットが期待できるものの、2億ドル超えの道のりはそれほど平坦ではなさそうだ。目標は「Mr.インクレディブル」の2億6000万ドル超えとなるが、果たして。
水曜に公開された「ダイ・ハード4.0」はネズミパワーの前に初登場2位デビュー。最初の5日間で4800万ドルと爆発力は今ひとつだが、人気に翳りのブルース・ウィリス主演作としては上々の滑り出し。実はこのシリーズ、日本での人気から推測するほど全米での興行収入が優秀なわけでもなく、シリーズ通して前評判ほど数字が上がっていない。1作目は8300万ドル、2作目は1億1700万ドル、3作目は1億ドルの興収に留まっており、いずれもメガヒットには至っていない。1作目からほぼ20年が経過しているので単純な数字の比較は出来ないが、この第4弾がシリーズ最高興収を記録する可能性もある。ただし、「レミー~」と違って息の長い興行を期待するのは酷。次週封切りの「トランスフォーマー」と客層がかぶっており、余波をモロに食らうのは必至だ。
カンヌ映画祭で正式上映されたマイケル・ムーア監督の新作「シッコ」は9位に初登場。441館の公開で450万ドルとアベレージは優秀だが、期待されたほどの興行力は見せられなかった。前作「華氏911」がドキュメンタリー映画としては破格の1億ドル超を稼いだだけに物足りない結果に映るが、今回の「シッコ」もドキュメンタリー映画としては史上3番目のヒットになる可能性十分。ムーアのネームバリューはやはり絶大だ。
10位に登場は豪華キャストで贈るドラマ「Evening」。「海の上のピアニスト」の撮影監督として知られるラホス・コルタイが華麗な映像美で綴る親子二代の恋愛物語だ。ヴァネッサ・レッドグレイブ演じる主人公の回想形式による物語は、主人公の若き日を演じるデインズに加え、メリル・ストリープ、グレン・クローズ、トニ・コレット、ナターシャ・リチャードソン、パトリック・ウィルソン、ヒュー・ダンシーと実に豪華。だが、これが興行には結びつかず977館の公開で3日間350万ドルと大苦戦。頼みの批評家からも厳しい評価で万事休す。アカデミー賞戦線でも期待されていた作品だが、残念ながらここで戦線離脱となった。
TW | LW | Title | 配給 | Weekend | 劇場数 | Total | 週 |
1 |
N
|
レミーのおいしいレストラン |
BV
|
$47,227,000
|
3,940
|
$47,227,000
|
1
|
2 |
N
|
ダイ・ハード4.0
|
Fox
|
$33,150,000
|
3,408
|
$48,178,000
|
1
|
3 |
1
|
エバン・オールマイティ
|
Uni.
|
$15,089,000
|
3,636
|
$60,625,000
|
2
|
4 |
2
|
1408 |
MGM/W
|
$10,610,000
|
2,733
|
$40,389,000
|
2
|
5 |
3
|
ファンタスティック・フォー/銀河の危機
|
Fox
|
$9,000,000
|
3,424
|
$114,800,000
|
3
|
6 |
5
|
Knocked Up |
Uni.
|
$7,418,000
|
2,678
|
$122,407,000
|
5
|
7 |
4
|
オーシャンズ13 |
WB
|
$6,050,000
|
2,903
|
$102,085,000
|
4
|
8 |
6
|
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド |
BV
|
$5,015,000
|
2,162
|
$295,758,000
|
6
|
9 |
31
|
シッコ |
LGF
|
$4,500,000
|
441
|
$4,615,000
|
2
|
10 |
N
|
Evening |
Focus
|
$3,513,000
|
977
|
$3,513,000
|
1
|