総合映画情報サイト オスカーノユクエ

[Weekend Report] シンプソンズ映画版が爆発的ヒット！！

TM and (C) 2008 FOX

「ザ・シンプソンズ MOVIE」が予想を上回る爆発的なスタートを切った。
放送開始から15年目を迎えた全米の人気長寿アニメが満を持しての映画化。スプリングフィールドという架空の町に住むシンプソン一家が巻き起こす騒動をシニカルに描いたコメディで、一見子供向け番組の体裁をとっているものの、実際のところ笑いの内容はかなりキワどく完全に大人向け。今回の映画版も、原子力発電所に勤める一家の長バートが誤って有毒廃棄物を垂れ流してしまうというとんでもない不祥事から始まるようだが、これがほんのジャブ程度に過ぎないのがこのアニメのすごいところ。レベルの高い笑いの波状攻撃に批評家たちも完全にノックアウトされたようで、全米の有力紙からは軒並み絶賛評が届けられている。

お茶の間のファンにもシンプソン一家のスクリーン進出は大事件だったようで、初日の金曜は周囲の予想を大幅に上回る2900万ドル超の大ヒットとなっている。ただし、このジャンルにしては珍しく土日の落ち込みが激しい（3日間トータルでは7100万ドル止まり）。初日に劇場に訪れたのはやはり熱狂的な大人のシンプソンズ・ファンだったようで、土日のファミリー層の集客にはそれほど成功していないことが推測される。今後もファミリー層にうまく浸透しないようなら、次週以降大きな落ち込みがあっても仕方なしか。

ドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のリメークとなる「幸せのレシピ」は5位にランクイン。「シャイン」「ヒマラヤ杉に降る雪」などで知られる俊英スコット・ヒックス監督が2人の料理人の恋愛模様をキッチュに描き出す。恋愛下手の主人公にキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、彼女の恋のお相手となるイタリアかぶれの男にアーロン・エッカート、2人の仲を取り持つ主人公の姪にアビゲイル・ブレスリン。
オープニング3日間の興収は1100万ドルとマズマズだが、大作の中に混じって持続力には疑問符がつきそう。ヒックスの大衆迎合的な演出は娯楽作のそれとしては正解だったが、スパイスの効いていない特徴のない味付けに、映画ファンも早々に飽きが来てしまうのでは。

お騒がせ女優リンジー・ローハン主演の新作スリラー「I Know Who Killed Me」は9位発進。かつてのBoxOffice女王も今や見る影なし。私生活でのゴシップがローハンのキャリアを完全に崩壊させてしまったようだ。誘拐された女子学生が無事に帰還するも、自分は誘拐された女性とは別人で、彼女はまだ誘拐されていると自供する……。タイトルからかつてのヒットホラー「ラストサマー」（原題：I Know What You Did Last Summer）を連想してしまうが、興行的には足元にも及ばない結果に終わってしまった。3日間興収340万ドルは彼女のキャリアの中でも最低の成績だが、このところ右肩下がりの興収を思えば予想の範囲内。批評家からのハデな叩かれ具合を見る限り、残念ながら彼女のキャリアは終盤に差し掛かっていると言えるかもしれない。

1019館で封切られたコメディ「Who’s Your Caddy?」は10位にランクイン。人気黒人ラッパー“Outcast”のビッグ・ボーイことアントワン・パットン主演のドタバタ喜劇で、お堅いゴルフ・クラブで好き放題に暴れまわる主人公と、彼を何とかして追い出したいクラブ側との攻防が描かれる。人気ラッパーのコメディ映画俳優転身にはアイス・キューブという成功例があるが、パットンの集客力はまだまだのよう。果たして次はあるのか。

Tweet