アジアと欧米の価値観の違い浮き彫りに — 「ブラインドサイト ~小さな登山者たち~」レビュー
盲目の子供たちがエベレスト登頂に挑戦する。障害者が身体的ハンデを克服して目的を達成するまでを追ったお涙頂戴ドキュメンタリー?いや、そんな体裁は全くない。意外にも映画の主題は、欧米とアジアの価値観の違いを描くことにあった。エベレストの中腹まで来た登山隊が決断を迫られる。登りきるべきか、下山すべきか。欧米から来た登山サポーターたちは当然登頂を主張するが、子供たちの保護者は下山止むなしと判断する。登頂することが勝利であると信じる者たちと、挑戦することに意義があると信じる者たち。価値観の違いから対立する両者は一体どんな判断を下すのか?
ただし、そうした対立軸の中にあって、盲目の子供たちから主体性が失われてしまうのは残念。子供たちの意義ある挑戦も、所詮は大人たちのエゴに振り回された結果でしかないのか。そうではない、と訴える声が欲しかった。