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[Venice 2007] 第64回ヴェネチア国際映画祭コンペ作品解説 Vol.1

アカデミー賞 記事:2007.08.08

Atonement
(イギリス/アメリカ)123’
監督:ジョー・ライト
脚本:クリストファー・ハンプトン
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ

アカデミー賞戦線でも活躍を期待される新鋭ジョー・ライト監督のドラマ。劇場用映画監督デビューとなった前作「プライドと偏見」がとにかく素晴らしい出来だったライトが二作目でもその実力を見せ付けるだろう。前評判は高く、今回の映画祭でも栄えあるオープニング作品に選出されている。順当なら最も金獅子賞に近い存在と言える。

The Darjeeling Limited
(アメリカ)91’
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ他
出演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ

「天才マックスの世界」「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」の成功で一躍スターダムに躍り出たウェス・アンダーソン監督だが、前作「ライフ・アクアティック」の不評で初めて株を下げた。一方で、盟友ノア・バウムバックが「イカとクジラ」でオスカー候補に挙がるなどの活躍を見せたために、世間の評価はすっかり逆転してしまった感。アンダーソンとしては、初参戦となるヴェネチアで結果を出して名誉挽回といきたいところだ。

Sleuth
(イギリス/アメリカ)86’
監督:ケネス・ブラナー
脚本:ハロルド・ピンター
出演:マイケル・ケイン、ジュード・ロウ

アカデミー賞監督賞2度受賞の巨匠ジョセフ・L・マンキウィッツが演出した72年の作品「探偵<スルース>」のリメーク。オリジナルはミステリの傑作と名高いだけにリメークを成功に導くのは至難の業だが、数々のシェークスピア劇を見事に映像化してきたケネス・ブラナーなら期待感はある。オリジナルでは老推理作家をサー・ローレンス・オリビエ、若き美容師をマイケル・ケインが演じたが、リメークではケインが老推理作家を、ジュード・ロウが美容師を演じる。

This Is Chaos
(エジプト)122’
監督:ユーセフ・シャヒーン
脚本:ユーセフ・シャヒーン
出演:Khaled Saleh、Mena Shalaby

これまでカンヌのコンペに5回、ベルリンに2回の参戦経験を持つエジプトの巨匠ユーセフ・シャヒーン監督が満を持してヴェネチアに乗り込む。カンヌでは99年の「他者」でFrancois Chalais Awardを受賞、ベルリンでは78年に『アレキサンドリアWHY?』で銀熊賞を受賞しており、当然ヴェネチアでも何らかの結果を出すことを期待されている。今回の新作は警官による少女レイプ事件をモチーフとしているようで、力強い筆致のメッセージ性強い作品に仕上がりそうだ。

Redacted
(アメリカ)90’
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:ブライアン・デ・パルマ
出演:ケル・オニール、タイ・ジョーンズ

イラクで実際に起きたレイプ殺人事件をモチーフに、メディアの報道のあり方について問う。デ・パルマにはベトナム戦争を舞台にレイプ事件を描いた「カジュアリティーズ」がある。マイケル・J・フォックス、ショーン・ペンなどスターを起用して戦争映画らしからぬ演出で娯楽映画した過去作とは一線を画したい。無名俳優を配したキャストが期待感を煽るが、果たして出来栄えは?デ・パルマらしさを保ちつつ、イラクの闇に迫ることは可能なのか?

The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford
(アメリカ)155’
監督:アンドリュー・ドミニク
脚本:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック

プロデュース作「マイティ・ハート/愛と絆」でカンヌを沸かせたブラッド・ピットが、今度は製作・主演を兼ねた勝負作でヴェネチアに参戦する。伝説のガンマン、ジェシー・ジェイムズの生涯を、彼を殺害したロバート・フォードの視点で描く意欲作。監督のアンドリュー・ドミニクは、エリック・バナ主演の監督デビュー作「チョッパー・リード 史上最凶の殺人鬼」がピットの目に留まり、今回の抜擢となった。良くも悪くもハリウッドの大スターを擁する作品だけに注目度は高い。出来さえまともならチャンスあり。

Nessuna qualita agli eroi
(イタリア)102’
監督:パオロ・フランキ
脚本:パオロ・フランキ
出演:エリオ・ジェルマーノ、ブリュノ・トデスキーニ

監督デビュー作「見つめる女」で、イタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・デ・ドナテッロ賞の新人賞にノミネートされたパオロ・フランキ監督の新作。ヴェネチアは初参戦だが、地元で錦を上げたいところ。イタリア作品は1980年以降、金獅子賞受賞は98年のジャンニ・アメリオ監督の「いつか来た道」ただ一度と淋しい。そろそろ順番が巡ってきてもいい頃だが・・・・・・。

Michael Clayton
(アメリカ)119’
監督:トニー・ギルロイ
脚本:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、トム・ウィルキンソン

「シリアナ」でアカデミー賞助演男優賞受賞、「グッドナイト&グッドラック」で監督賞ノミネートと、すっかり社会派イメージの定着したクルーニー兄貴が今度は法の世界に鋭くメスを入れる。製作は当然兄貴の運営するセクション・エイトで、オスカー監督スティーヴン・ソダーバーグの後ろ盾もある。監督のギルロイはこれが初メガホンとなるが、「ボーン・アイデンティティ」シリーズの脚色を手がけるなど、脚本家としての腕には定評あり。兄貴のアドバイスを得て監督業をうまくこなせば大きな成果が待っているかもしれない。

Nightwatching
(カナダ/フランス/ドイツ/ポーランド/オランダ/イギリス)134’
監督:ピーター・グリーナウェイ
脚本:ピーター・グリーナウェイ
出演:マーティン・フリーマン、エミリー・ホームズ

華やかなアムステルダム社交界の裏を探るミステリーと、実在の画家レンブラントの波乱万丈な人生を描く文芸サスペンス。異色監督グリーナウェイはカンヌでは4度のコンペ参戦経験があり、うち88年の「数に溺れて」で芸術貢献賞を受賞しているが、ヴェネチアでは91年の「プロスペローの本」がコンペに参戦しただけ。アクの強い作風で好き嫌いがはっきり分かれるだけに、審査員のツボにはまるのを祈るしかない。

En la cuidad de Sylvia
(スペイン)90’
監督:ホセ・ルイス・ゲリン
脚本:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:ピラール・ロペス・デ・アジャラ、グザヴィエ・ラフィット

4年前に出会った女の面影を追って、男はフランスのシュトラスブルクを訪れる。監督のゲリンはスペイン出身の47歳。主にドキュメンタリーを主戦場としてきた人物で、01年の「En construccion」でゴヤ賞のドキュメンタリー作品賞を受賞している。ヴェネチアはもちろん、三大映画祭への参戦は初めてのニューフェイスがどこまで善戦できるか。

In the Valley of Elah
(アメリカ)120’
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン

「ミリオンダラー・ベイビー」「クラッシュ」「硫黄島からの手紙」と脚本を手がけた作品が3年連続アカデミー賞作品賞にノミネート(うち2度受賞)されるという快挙を成し遂げ、今やハリウッドでもっとも信頼の置けるクリエイターとなったポール・ハギスの新作となれば、黙っていても注目は集まる。厄介なのは成功によって課せられた高いハードル。その手腕は誰もが認めるものの、TV界出身でしかもポッと出のハギスに対する風当たりは決して弱くはないだろう。その逆風を物ともせず結果を出すようなら、アカデミー賞戦線の主役はもう決まったようなものだ。


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