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偽善を廃したリアルな恋愛コメディ ― 「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」

映画レビュー 記事:2007.08.11

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ダメ亭主の元から逃げ出そうとする妊娠中のウェイトレスが産婦人科医と恋に落ちる。他愛もないプロットの恋物語と侮るなかれ。人物描写に優れた脚本はほぼ完璧。予告なく訪れる人生の悲喜劇をときにコミカルに、ときにシリアスに描いた演出は実に的確で、主演のケリー・ラッセルをはじめとするキャストの演技も素晴らしい。これほど偽善を廃したハリウッド映画も珍しく、登場人物たちの行動・言動に激しく感情移入すること請け合いだ。

ストーカーと付き合うことになる同僚、不良ぶった老オーナーなど脇役がややステレオタイプ化しているきらいもあるが、言ってみれば彼らはパイの受け皿。主人公ジェンナが織り成す複雑な味わいのパイをしっかりと受け止めている。監督のエイドリアン・シェリー(享年40歳。合掌)が妊娠8ヶ月のときに書いたという脚本は実にリアルで、ジェンナの不安定な精神状態を丁寧かつ大胆に描いている。完全にハリウッドナイズされた「幸せのレシピ」あたりとは対極にある作品。こうした野心的なドラマが市場でも認められるべきだが……。


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