シリーズで一番の小気味良いエンタテインメント ― 「オーシャンズ13」レビュー
13人もの主要キャラクターが登場するというそもそもの構造的欠陥はあるが、それなりに魅力ある作品。個人的にはシリーズ3作品の中では一番楽しめた。個々のキャラクター説明を一切省いて犯罪のトリック解説に全力を注いだ脚本は、ドラマとしての盛り上がりは奪うもイベント映画としてはきっちりと機能している。
物語の構成はシンプルに、一味それぞれの見せ場も最大限用意されるなど、前作の失敗を巧みに回避しており、小気味良いエンタテインメントに仕上がった。前作同様クルーニー兄貴は脇に回り、スターパワーの増したデイモンとチードルに見せ場を譲っている。新登場のパチーノは抑えた演技で悪役を憎憎しく演じ、エレン・バーキンは年齢も何のそののセクシーぶりを見せる。ただ、一番オイシイ思いをしたのは真の悪役とも言えるベネディクトを演じたアンディ・ガルシアか。