[Venice 2007] 第64回ヴェネチア国際映画祭 最終予想!
さていよいよ9日に迫ったコンペ部門の結果発表。ここ数年、アカデミー賞に直結する結果の出ているヴェネチアだけにオスカー・ウォッチャーたちは要注目だ。
今年、審査員長を務めるのは中国が誇る巨匠チャン・イーモウ。こじんまりとしたドラマから大掛かりなアクション大作まで幅広くこなすイーモウだけに、どのジャンル映画にもチャンスはありそうだ。日本から出品の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」には有利なデータか?ただし、アジア人の審査員長がアジア映画を金獅子賞に選ぶ可能性はあまり高くないと思われる。さらに昨年の金獅子賞受賞が中国映画の「長江哀歌(エレジー)」ということで、今年はアジア圏外の作品が選出される可能性が高い。
一方、今回も最多7本を送り込んでいるアメリカ映画は、一昨年に「ブロークバック・マウンテン」が金獅子賞を受賞しているものの、ここ10年ではその1本だけと意外に実績を残していない。確率的には受賞があって不思議はなく、中でもオープニング上映の栄誉を授かった「Atonement」、ポール・ハギスの「In the Valley of Elah」、トッド・ヘインズの「I’m Not There」あたりはチャンスが大きいか。
イギリス映画は近10年で「ヴェラ・ドレイク」「マグダレンの祈り」が金獅子賞を受賞。今回はケネス・ブラナーの「Sleuth」、ケン・ローチの「It’s a Free World…」がエントリーしているが、前者はリメーク、後者はローチが昨年カンヌで最高賞を受賞したばかりと大きなネガティブ要因がある。
その他ヨーロッパ勢はややアジア、英米勢に押されがちな印象。今回エントリーのエリック・ロメール、ピーター・グリーナウェイら大物が劣勢を覆せるか。
ちなみに今回の審査員は全て映画監督という珍しい構成。今年のカンヌに出品した女流監督カトリーヌ・ブレイヤ(フランス)、昨年のヴェネチアで新人監督賞受賞のエマヌエーレ・クリアレーゼ(イタリア)、「バベル」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(メキシコ)、新作「ブラックブック」が好評だったポール・バーホーヴェン(オランダ)というバラエティ豊かな面々だ。押しの強そうなイニャリトゥ、バーホーヴェンあたりの意見が重用されれば思わぬサプライズ選出もあるかも……。
というわけで、何の根拠もない管理人予想は以下の通り。
●金獅子賞
Atonement(監督:ジョー・ライト)
●監督賞
ユーセフ・シャヒーン(This Is Chaos)
●男優賞
トミー・リー・ジョーンズ(In the Valley of Elah)
●女優賞
ファニー・アルダン(L’ora di punta)
●新人監督賞
ホセ・ルイス・ゲリン(En la cuidad de Sylvia)
●マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)
タン・ウェイ(ラスト、コーション/色・戒)
●金オゼッラ賞(脚本)
エリック・ロメール(Les Amours d’Astree et de Celadon)
●審査員特別大賞
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(監督:三池崇史)
■第64回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門 ラインナップ発表!
■第64回ヴェネチア国際映画祭コンペ作品解説 Vol.1
■第64回ヴェネチア国際映画祭コンペ作品解説 Vol.2
審査員長
チャン・イーモウ
審査員
カトリーヌ・ブレイヤ
エマヌエーレ・クリアレーゼ
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
ポール・バーホーヴェン