[Venice 2007] サプライズ続出!金獅子賞はまたもアン・リーへ!
まさかまさかのサプライズ!ヴェネチア金獅子賞に輝いたのは、現地で不評が伝えられていた「ラスト、コーション[色、戒]」(台湾、アメリカ)。アン・リー監督は2年前の「ブロークバック・マウンテン」に続いて2度目の金獅子賞受賞となった。
審査員長チャン・イーモウの手心か!?昨年の金獅子賞が中国の「長江哀歌(エレジー)」とあって、同じアジア圏の作品が選ばれる可能性は少ないだろうという下馬評の中、前作で栄冠を勝ち取ったばかりのリー監督がまさかの再受賞を果たした。前回の「ブロークバック~」はヴェネチアでの栄冠から前哨戦を勝ち進み、アカデミー賞戦線でも本命視されただけに、今回も同様の活躍が期待される。ただし、今回はアジア人キャストによる外国語作品。このハンデを覆せるかどうかが鍵だ。
他部門でもサプライズ続出!こちらも現地で賛否両論となっていた「Redacted」のブライアン・デ・パルマが監督賞を受賞。国際映画祭での栄冠は69年の「ロバート・デ・ニーロの ブルーマンハッタン/BLUE MANHATTAN II・黄昏のニューヨーク」でベルリン銀熊賞を受賞して以来となる。キャリア・リスペクトを生かして“初の”アカデミー賞候補を狙いたい。
男優賞はブラッド・ピット(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)。伝説の無法者ジェシー・ジェームズを演じての初受賞だ。思えば昨年もハリウッド・スター、ベン・アフレック(ハリウッドランド)が受賞しており、2年連続でスター男優が栄誉をさらう結果となった。昨年のアフレックはその後BUZZが降下しアカデミー賞候補を逃したが、ピットは自身2度目のノミネートを勝ち取ることが出来るのか。
女優賞は男装のボブ・ディランを演じて話題沸騰中のケイト・ブランシェット(I’m Not There)。これでアカデミー賞候補は確実か。脚本賞にはケン・ローチ監督「It’s a Free World…」のポール・ラヴェルティ。撮影賞には大御所ロジャー・ディーキンス(The Assassination~)が選ばれた。
現地で最も高い評価を集めていたLa Graine et le mullet(監督:アブドラティフ・ケシシュ、フランス)は審査員特別賞と新人俳優賞の2冠を獲得。日本期待の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」は残念ながら無冠に終わった。
下馬評を覆す驚きの結果となった今回のヴェネチア。アカデミー賞との直結度も年々上がっている注目の映画祭だが、今年は現地での評価と賞の結果がまったく一致しておらず、結果を一概に鵜呑みに出来ない。無冠に終わった「In the Valley of Elah」は現地での評価高く、まだまだ見限れないだろう。
■ 第64回ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門結果
★金獅子賞
ラスト、コーション[色・戒](監督:アン・リー)(台湾、アメリカ)
★銀獅子賞(監督賞)
ブライアン・デ・パルマ(Redacted)(アメリカ)
★審査員特別賞
La Graine et le mullet(監督:アブドラティフ・ケシシュ)(フランス)
I’m Not There(監督:トッド・ヘインズ)(アメリカ)
★男優賞
ブラッド・ピット(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)(アメリカ)
★女優賞
ケイト・ブランシェット(I’m Not There)(アメリカ)
★脚本賞
ポール・ラヴェルティ(It’s a Free World…)(イギリス)
★新人俳優賞
Hafsia Herzi(La Graine et le mullet)(フランス)
★特別賞(for Overall Work)
ニキータ・ミハルコフ