注目のトロント国際映画祭観客賞は「Eastern Promises」に!
毎年、アカデミー賞戦線に大きな影響を与えるトロント国際映画祭観客賞。今年の覇者はデヴィッド・クローネンバーグの「Eastern Promises」と発表された。同作は今週末に全米でも封切られたばかりで、批評家から熱い賛辞が寄せられていた。
目の肥えたトロントの映画ファンが選ぶこの観客賞、過去には「炎のランナー」「アメリカン・ビューティー」らアカデミー賞作品賞受賞作をはじめ、「ライフ・イズ・ビューティフル」「アメリ」「グリーン・デスティニー」「ツォツィ」など人気の高い外国語作品も数多く選ばれている。昨年の「Bella」こそ、その後陽の目を見ないものの、ここ数年は「ツォツィ」(外国語映画賞受賞)、「ホテル・ルワンダ」(主演男優賞ノミネート)、「クジラの島の少女」(主演女優賞ノミネート)など、多数のアカデミー賞候補を送り込んでいる。
今年、アメリカ映画である「Eastern Promises」が選ばれたことで、同作は一躍アカデミー賞戦線の最有力コンテンダーに浮上したと言っても過言ではない。クローネンバーグ作品がアカデミー賞向きでないことを考えると受賞までは難しいと見るのが妥当だが、作品賞、監督賞、主演男優賞部門ではかなり高い確率でノミネートが期待できそうだ。
また、次点に選ばれた「Juno」にも要注目。監督のジェイソン・ライトマンは昨年「サンキュー・スモーキング」で衝撃的な長編映画デビューを飾った新鋭だ。父は「ゴースト・バスターズ」「デイヴ」などで知られるヒットメイカー、アイヴァン・ライトマン。父とは全く違う路線で早くも素質を爆発させている。同作の配給は今ノリノリのフォックス・サーチライトという点も大きなプラス要因で、うまくすれば作品賞レースでの活躍も期待できそうだが、それ以上に主演のエレン・ペイジに大きな注目が集まりそうで、主演女優賞レースの強力なコンテンダーとなること確実だ。
■ 第32回トロント国際映画祭
●観客賞
Eastern Promises (監督:デヴィッド・クローネンバーグ)
●次点
Juno (ジェイソン・ライトマン監督)
Body of War (監督:フィル・ドナヒュー、エレン・スピロ)