大きな進歩見せたソニー製CGアニメ ― 「サーフズ・アップ」レビュー
かなりよく出来ているのでちょっと驚いた。技術的にはソニー・ピクチャーズ・アニメーションの前作「オープン・シーズン」を遥かに上回っているし、主人公の成長を爽やかに描いたストーリーもうまくまとまっている。声の出演者たちも一様によい。特にシャイア・ラブーフ、ジェフ・ブリッジス、ジェームズ・ウッズ、ジョン・ヘダーらは持ち味を十二分に発揮。キャラクターも個性あり、愛らしい。全米で全く当たらなかったのが不思議なくらいだ。
ドキュメンタリー映画の撮影中というコンセプトは賛否分かれるところ。うまく笑いに化けているところもあるが、蛇足に終わっている部分も多い。それでも、個性ある作品に仕上げようという心意気は買える。
おそらく問題は、作品の中身よりも、後追いになってしまった企画自体にある。ペンギンものは「ハッピー フィート」に先を越され、新鮮味がなかった。前作「オープン・シーズン」がこれまたどこかで見た要素の詰め合わせのような亜流作品だったため、作品を見る前に飽きられてしまった可能性が高い。おそらくそうした先入観がなければもっと評価されていたはず。
さて、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションの気になる次回作は「ネアンデルタールズ(原題)」。タイトルから推測すると、今度こそオリジナリティがありそう。飛躍のときは近付いている。