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オスカー戦線激動!浮いた作品、沈んだ作品

アカデミー賞 記事:2007.10.19

10月に入って俄かにアカデミー賞戦線も活気付いてきたので、近々の状況を少しおさらいしてみよう。
[浮いた作品]
まずは批評家の支持を受けて今後の賞レースで大きな期待をかけられそうな作品群。
Eastern Promises(フォーカス・フィーチャーズ)
Into The Wild(パラマウント・ヴァンテージ)
Michael Clayton(ワーナー・ブラザース)
Gone Baby Gone(ミラマックス)
中でも「Eastern Promises」は批評家好みする作品で、年末年始にかけての批評家賞レースで主役を張れる存在だ。クローネンバーグの監督賞、ヴィゴ・モーテンセンの主演男優賞に大きなチャンスがある。


逆にアカデミー賞向きなのは「Into The Wild」「Michael Clayton」か。前者は監督のペンが最近やや政治的なパフォーマンスが過ぎるのが不安要素だが、作品には政治臭なくペンの知名度がプラスに働きそう。後者はサスペンスというジャンルが足を引っ張る可能性があるが、もはや貫禄さえ漂うクルーニー支持票が大きな後押しになるだろう。
アフレックの「Gone Baby Gone」は、同じ原作者の「ミスティック・リバー」が作品賞候補にあがっていることを考えれば、十分にチャンスがあると考えていい。一度は落ちるところまで落ちたアフレックのカムバックを会員たちは今度こそ受け入れるのではないか(昨年の「ハリウッドランド」では無視したが)。
[沈んだ作品]
一方、批評家の支持が得られず戦線離脱してしまった作品群は以下。
ブレイブ ワン(ワーナー・ブラザース)
エリザベス:ゴールデン・エイジ(ユニバーサル)
Feast Of Love(MGM)
Rendition(ニューライン)
We Own The Night(ソニー)
Reservation Road(フォーカス・フィーチャーズ)
Sleuth(ソニー)
個人的にはかなり上位にランクしていた「Reservation Road」が不評で完全アウト。テリー・ジョージ監督は前作「ホテル・ルワンダ」での力量もさることながら、ジム・シェリダンと組んだ一連の作品の脚本家として評価していただけに、今回の不評は意外だった。
前作「ツォツィ」で外国語映画賞受賞のギャヴィン・フッド監督の新作「Rendition」も受けイマイチで脱落。前作のフッド監督の演出手法は、南アフリカ映画としてはやけにハリウッドナイズされていると感じたが、その監督がハリウッドに渡ったら没個性と評価されてしまうのは避けられなかったか。
ニール・ジョーダン監督×ジョディ・フォスターという贅沢な顔合わせが実現した「ブレイブ ワン」も評価イマイチで作品賞戦線からは完全に脱落。ジョディの主演女優賞に可能性を残すのみとなった。
作品賞候補「エリザベス」の続編である「エリザベス:ゴールデン・エイジ」は前作に遠く及ばない評価。衣装、美術ら技術部門では評価されそうだが、主要部門からは完全撤退だ。
[浮き沈み微妙な作品]
他、批評家からはマズマズの評価を得るも、アカデミー賞戦線での活躍は微妙と見られる作品群。
3:10 to Yuma(ライオンズゲート)
ダージリン急行(フォックス・サーチライト)
Things We Lost In The Fire(ドリームワークス)
The Assassination of Jesse James~(ワーナー・ブラザース)
In The Valley Of Elah(ワーナー・インディペンデント)
ラスト、コーション/色、戒(フォーカス・フィーチャーズ)
「3:10 to Yuma」「In The Valley Of Elah」あたりは、後続の作品次第では再浮上の目もありそうだが、「ダージリン急行」「Things We Lost In The Fire」は作品賞ノミネートの可能性はもうなさそうだ。「The Assassination~」はブラピの主演賞を期待する声もあるが、撮影賞ほか技術部門でより力を発揮しそうな気配。アン・リーの「ラスト、コーション/色、戒」は外国語映画賞部門での活躍が期待される。


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