躍進著しいフォックス・サーチライト、今年のイチオシは?
「サイドウェイ」「リトル・ミス・サンシャイン」と2年連続で作品賞候補に送り込んでいるフォックス・サーチライト。FYC広告によると、「Juno」「The Savages」「ダージリン急行」「その名にちなんで」「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」「ONCE/ダブリンの街角で」の6作品が今年の同社のイチオシ作品のようだ。
「Juno」「The Savages」の2本はまだ全米公開前で批評家の評価が定まっていないが、すでに公開されている作品の中では「ONCE~」の評価が高い。ただし同作はドキュメンタリータッチの極めて規模の小さい音楽映画であり、作品賞候補までは考えづらい。主題歌賞に候補を送り込めれば御の字か。
「その名にちなんで」も評価高いが、インド人家族の物語であり、アカデミー会員にアピールする要素に欠ける。確かに出来はよく、父親役を演じるイルファン・カーンの好演は胸を打つが、ノミネートまでは手が届きそうもない。
「ダージリン急行」は期待されたほど評価の支持なく、オスカー戦線での巻き返しは厳しい状態。もっともアカデミー会員受けしやすいネームバリュー豊富な作品だが、主要部門でのノミネートは期待しづらい。
「ウェイトレス~」からは、ケリー・ラッセルの主演女優賞ノミネートが期待できる。早い公開のせいでややBUZZが鳴り止んでいる気配も、ラッセルの健気な演技はアカデミー会員の心を鷲掴みにするだろう。今年は同部門にライバルが多くノミネート当落線上も、個人的には高い確率でノミネートにこぎつけると見ている。
今年、フォックス・サーチライトから作品賞候補が生まれるとすれば、「Juno」あるいは「The Savages」か。どちらも新鋭監督による作品だが、前評判は極めて高い。作品のテーマからすると、老人介護の問題を扱った後者に分がありそうだが、監督の期待度では前者に軍配が上がる。どちらもポテンシャル高く、大きな期待をかけてよさそうだ。