デ・パルマ新作「Redacted」概ね好評も、アカデミー賞は?
ブライアン・デ・パルマ監督の新作は、イラク戦争を題材にしたドキュメンタリータッチのドラマ。実際に起きた、米軍による現地人少女のレイプ殺害事件にインスパイアされた反戦映画だ。ヴェネチア国際映画祭ではその内容が物議を醸し賛否割れるも、銀獅子賞(監督賞)を受賞。大きな勲章を手にしての凱旋となった。
豊富なキャリア誇るデ・パルマ監督の新作に、全米の批評家たちは概ね良好な反応。デ・パルマが綴る物語はショッキングで、悲しく、絶望感が漂うが、これを映像化した勇気は称えられるべき。若い無名キャストたちのアンサンブルも見事なケミストリーを見せていると高評価。一方で、反戦映画としてそのメッセージは評価されていいが、映画としては未成熟とする厳しい意見も。
凝ったカメラワークや編集で徹底して“映画世界”を構築してきたデ・パルマ監督の転身が評価の肝となっているが、題材からしてアカデミー賞戦線での活躍は難しいか。