[2007 Precursors] 最重要!!! ブロードキャスト批評家賞候補発表!
アメリカン・ギャングスター |
つぐない |
潜水服は蝶の夢を見る |
Into the Wild |
JUNO/ジュノ |
君のためなら千回でも |
フィクサー |
ノーカントリー |
スウィーニー・トッド |
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド |
最重要ブロードキャスト映画批評家協会賞は「ノーカントリー」が作品、監督、助演男優の3部門を制して完勝。アカデミー賞向きではないとされる本作が同賞を受賞したことで、賞レースの様相は大きく様変わりしたといえる。一方で、最多ノミネートの「Into the Wild」、アカデミー賞で有力視される「つぐない」はまさかの無冠。アカデミー賞に向け暗雲立ち込める結果となった。
そんな中、主役「ノーカントリー」に一矢報いたのが「JUNO/ジュノ」。「ノーカントリー」を破って脚本賞を受賞し、さらにコメディ映画賞も受賞している。本番で「ノーカントリー」を追撃できるのはこの作品だけかもしれない。
ブロードキャスト映画批評家協会賞
■ 作品賞
★ノーカントリー(監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン/ミラマックス)
アメリカン・ギャングスター(監督:リドリー・スコット/ユニバーサル)
つぐない(監督:ジョー・ライト/フォーカス・フィーチャーズ)
潜水服は蝶の夢を見る(監督:ジュリアン・シュナーベル/ミラマックス)
Into the Wild(監督:ショーン・ペン/パラマウント・ヴァンテージ)
JUNO/ジュノ(監督:ジェイソン・ライトマン/フォックス・サーチライト)
君のためなら千回でも(監督:マーク・フォースター/パラマウント・ヴァンテージ)
フィクサー(監督:トニー・ギルロイ/ワーナー・ブラザース)
スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師(監督:ティム・バートン/パラマウント)
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(監督:ポール・トーマス・アンダーソン/パラマウント・ヴァンテージ)
■ 監督賞
★ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン(ノーカントリー)
ティム・バートン(スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師)
シドニー・ルメット(Before the Devil Knows You’re Dead)
ショーン・ペン(Into the Wild)
ジュリアン・シュナーベル(潜水服は蝶の夢を見る)
ジョー・ライト(つぐない)
■ 主演男優賞
★ダニエル・デイ=ルイス(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
ジョージ・クルーニー(フィクサー)
ジョニー・デップ(スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師)
ライアン・ゴズリング(Lars and the Real Girl)
エミール・ハーシュ(Into the Wild)
ヴィゴ・モーテンセン(Eastern Promises)
■ 主演女優賞
★ジュリー・クリスティ(Away from Her)
エイミー・アダムス(魔法のかけられて)
ケイト・ブランシェット(エリザベス:ゴールデン・エイジ)
マリオン・コティヤール(エディット・ピアフ/愛の賛歌)
アンジェリーナ・ジョリー(マイティ・ハート/愛と絆)
エレン・ペイジ(JUNO/ジュノ)
■ 助演男優賞
★ハヴィエル・バルデム(ノーカントリー)
ケイシー・アフレック(ジェシー・ジェームズの暗殺)
フィリップ・シーモア・ホフマン(Charlie Wilson’s War)
ハル・ホルブルック(Into the Wild)
トム・ウィルキンソン(フィクサー)
■ 助演女優賞
★エイミー・ライアン(Gone Baby Gone)
ケイト・ブランシェット(I’m Not There)
キャサリン・キーナー(Into the Wild)
ヴァネッサ・レッドグレーヴ(つぐない)
ティルダ・スウィントン(フィクサー)
■ アンサンブル演技賞
★ヘアスプレー
Before the Devil Knows You’re Dead
Gone Baby Gone
JUNO/ジュノ
ノーカントリー
スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
■ 若手男優賞
★アーマド・カーン・マーミジャダ(君のためなら千回でも)
マイケル・セラ(JUNO/ジュノ)
マイケル・セラ(スーパーバッド/童貞ウォーズ)
フレディ・ハイモア(August Rush)
エドワード・サンダース(スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師)
■ 若手女優賞
★ニッキー・ブロンスキー(ヘアスプレー)
ダコタ・ブルー・リチャーズ(ライラの冒険/黄金の羅針盤)
アナソフィア・ロブ(テラビシアにかける橋)
セルシャ・ローナン(つぐない)
■ 脚本賞
★ディアブロ・コディ(JUNO/ジュノ)
アーロン・ソルキン(Charlie Wilson’s War)
ショーン・ペン(Into the Wild)
ナンシー・オリバー(Lars and the Real Girl)
トニー・ギルロイ(フィクサー)
ジョエル&イーサン・コーエン(ノーカントリー)
■ 作曲賞
★ジョニー・グリーンウッド(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
ダリオ・マリアネッリ(つぐない)
アラン・メンケン、スティーヴン・シュワルツ(魔法にかけられて)
クリント・イーストウッド(Grace is Gone)
アレクサンドル・デプラ(ラスト、コーション[色・戒])
マルコ・ベルトラミ(3:10 to Yuma)
■ 主題歌賞
★“Falling Slowly”(ONCE ダブリンの街角で)
“Come So Far”(ヘアスプレー)
“Do You Feel Me”(アメリカン・ギャングスター)
“Guaranteed”(Into the Wild)
“That’s How You Know”(魔法にかけられて)
■ コメディ映画賞
★JUNO/ジュノ
Dan in Real Life
ヘアスプレー
Knocked Up
スーパーバッド 童貞ウォーズ
■ ファミリー映画賞(実写)
★魔法にかけられて
August Rush
ライラの冒険 黄金の羅針盤
ヘアスプレー
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
■ テレビ映画賞
★Bury My Heart at Wounded Knee
The Company
Tin Man
The War
■ アニメーション映画賞
★レミーのおいしいレストラン(ディズニー)
ビー・ムービー(ドリームワークス)
ベオウルフ 呪われし勇者(ワーナー・ブラザース)
ペルセポリス(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス)
ザ・シンプソンズ MOVIE(20世紀フォックス)
■ 外国映画賞
★潜水服は蝶の夢を見る(フランス)
4ヶ月、3週と2日(ルーマニア)
ラスト、コーション[色・戒](中国)
The Orphanage(スペイン)
エディット・ピアフ/愛の賛歌(フランス)
■ ドキュメンタリー映画賞
★シッコ
Darfur Now
In the Shadow of the Moon
The King of Kong
No End In Sight
Sharkwater
ノミネート所感 (07/12/12)
アカデミー賞との直結度という点においては最も信頼度の高いブロードキャスト映画批評家協会賞。今年で13回目とまだまだ歴史は浅いが、近年ではアカデミー賞の登竜門としてオスカー・ウォッチャーたちの間では最重要視されている賞だ。昨年も作品賞部門で選出された10作品の中から、アカデミー賞作品賞候補が全て出揃い、受賞作も「ディパーテッド」で一致。ますますその直結度は高くなっていると言える。
さて今年、その最重要賞で最多ノミネートとなったのは、何とショーン・ペン監督の「Into The Wild」。ここまで前哨戦では目立った実績をあげていなかったが、ここにきて大躍進となった。お堅い批評家よりもアカデミー会員向けということが言えそうだ。作品賞ノミネートに大きく浮上。
次位は6部門候補の「JUNO/ジュノ」。監督賞候補にあがっていない&コメディ作品賞部門での候補もあるので部門数通りの評価はいきすぎかもしれないが、主演女優賞部門をはじめとする強力コンテンダーということがいえそうだ。少なくとも、今年のフォックス・サーチライト作品のイチオシとなることはほぼ確定だろう。
アカデミー賞戦線では本命視されそうな「つぐない」も作品、監督賞含む5部門でノミネート。ただ、主演男優、主演女優部門でともに落選したのは痛い。助演女優賞部門もヴァネッサ・レッドグレーヴ、セルシャ・ローナン、ロモーラ・ガライの3人による票割れが危惧される。
外国語作品ながら作品賞候補の「潜水服は蝶の夢を見る」は、やはり相当強力なコンテンダーといえそうだ。ここまで前哨戦でも3番手追走の格好だが、ブロードキャスト批評家賞でも高評価とあらば、本番のアカデミー賞でも大きく取り上げられるかもしれない。外国語映画賞にエントリーがない分、作品賞候補も十分にありうる。
前哨戦をリードする「ノーカントリー」は貫禄の5部門候補。部門数では「Into The Wild」に遅れをとったが、前哨戦キングの座を譲るほどの遅れではない。前哨戦レース2番手につける「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は3部門の候補にとどまり、監督賞部門でも落選する波乱。やはり批評家受けする作品のようで、アカデミー賞レースでは少し割引して考えたほうがよさそうだ。
他、「君のためなら千回でも」「フィクサー」「スウィーニー・トッド」「アメリカン・ギャングスター」が滑り込み。アカデミー賞作品賞候補に望みをつないだ。逆に、有力視されていた「Charlie Wilson’s War」「The Savages」「3:10 to Yuma」「ヘアスプレー」らにとっては致命的な落選となってしまった。