オリジナリティゼロのコピームービー ― 「ヒットマン」レビュー
ここまで恥も外聞もなくヒット映画をコピーすれば、まあそこそこ面白くはなるだろう。「ボーン」シリーズ×「マトリックス」シリーズが奇跡の融合。ありえない組合せを実現したのは、誰あろう亜流映画の王様リュック・ベッソン(プロデュース)だ。
「ボーン」シリーズとくりそつの物語が、「ボーン」シリーズとくりそつの音楽に載せて語られる。「ボーン」シリーズの猿マネ的な見せ掛けだのリアリティ描写をそれっぽくかましたかと思えば、アクションの見せ場ではあっさりリアリティを捨てて「マトリックス」チックに画的な派手さを追及する。この節操のなさにただ呆れ返るか、面白ければよしと開き直れるか、そこが映画を楽しめるかどうかの分かれ目になる。クオリティは決して低くないので、オリジナリティのなさを問題にしなければ見てソンのない映画と言っていいかもしれない。