5作品を見終えて……作品賞 現時点での予想
今回初めて作品賞候補作を全て見てからオスカーの行方を予想できることになった。個人的な好みでいうなら断然「つぐない」に受賞して欲しい。本当によくできた素晴らしい作品だ。「プライドと偏見」が好きな人なら絶対に見逃してはいけない一本。物語もスケール感もアカデミー賞向きで、数年前なら間違いなく受賞していたはず。ただ今回は監督賞候補から洩れているだけに作品賞受賞は厳しそうだ。
前哨戦後半戦で快進撃を続ける「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」だが、巷で言われている通り、確かにアカデミー会員には受けにくそうな映画。個人的にも生理的に受け付けないというか、あそこまでズッシリ重いと見ていてしんどかった。間違いなくその一因となっているのがジョニー・グリーンウッドの音楽で、あそこまで主張する映画音楽も珍しいくらい。感覚的には、よくこれが最多ノミネートになったな、という感じ。迫力だけなら群を抜いてNo.1だが。
「ノーカントリー」も批評家向きには変わりないが、ずっと映画的。ただこれも、これまでのアカデミー賞の傾向を考えるなら、絶対に受賞しないタイプの映画だ。「ノーカントリー」と「ゼア・ウィル・ビー」、どちらがとっても衝撃的。
というわけで、今のところかなり真剣に「フィクサー」の逆転受賞を信じ始めている次第。娯楽性と社会性のバランスがよく、何よりドラマとして非常によく出来ている。主要部門に限れば最多ノミネートでアカデミー会員からの人気もある。そして唯一のメジャー作品。もしかしたらもしかするかも……!