[最終受賞予想] 監督賞
コーエン兄弟か?PTAか?
○ポール・トーマス・アンダーソン(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
◎ジョエル&イーサン・コーエン(ノーカントリー)
トニー・ギルロイ(フィクサー)
ジュリアン・シュナーベル(潜水服は蝶の夢を見る)
ジェイソン・ライトマン(JUNO/ジュノ)
コーエン兄弟にポール・トーマス・アンダーソン。この異色の映像作家たちがオスカー像を争っているという事実が、アカデミー賞の本質が変化していることを如実に物語っている。本来ならば両者とも、ノミネートはされても受賞はない、という種類の監督のはずで、どちらかが受賞するだろうという展開は到底予想できなかった。もしかしたらやはりこの2人の受賞はないのかもしれないが、他の3候補も受賞はなさそうな面子ばかり。ギルロイは脚本家として評価されるだろうし、シュナーベルは作品賞にノミネートされていないのが致命的、ライトマンはまだ若い。やはり作品賞部門でも本命視されるコーエン兄弟とPTAの争いになるだろう。
で、おそらくアカデミー会員たちの思考は、「ノーカントリー」と「ゼア」の2本に等しく賞を授与したいから、一方に作品賞を、もう一方に監督賞をあげよう・・・ということになるんじゃなかろうか。とすれば、映画監督としての実績に勝るコーエン兄弟に監督賞をあげておき、作品賞は「ゼア」でというのが自然な流れだ。両者ともに初めて手がけた原作モノで評価されるというのは何とも皮肉だが、作家として過小評価されているわけでは当然ない。2人とも今回は映画としてあまりにも異質な空気を作り出しており、映像作家としての個性を十二分に発揮したことがより高く評価されたということだろう。どちらが受賞しても納得。ただ、これまでとはあまりに異なるスタイルで勝負したPTAの受賞はやはり抵抗がある。彼には次回、本来の自分のスタイルで受賞を果たしてほしい。