[最終受賞予想] 作品賞
本命2作品を「フィクサー」が逆転する!
つぐない (フォーカス・フィーチャーズ)
JUNO/ジュノ (フォックス・サーチライト)
◎フィクサー (ワーナー・ブラザース)
▲ノーカントリー (ミラマックス)
○ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (パラマウント・ヴァンテージ)
「ノーカントリー」と「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」がともに最多8部門ノミネートで先頭を走る今年のアカデミー賞戦線。作品賞もこの2作品の争いになるというのがもっぱらの下馬評だが、果たして本当にそうか。どちらも内容は暗く、陰惨としていて決してアカデミー賞向きとは言いがたい。作品のクオリティは申し分ないが、どちらもこれまでのアカデミー賞の傾向からすれば敬遠されるべき作品だ。アカデミー会員もどちらか一方を選べと言われれば頭を悩ませるはずで、第三の選択肢に手が伸びる可能性は決して低くないと見る。
個人的な好みでいえば「つぐない」に一票入れたいが、監督賞にノミネートされていないのは致命的。従来までのアカデミー賞なら大量受賞があっておかしくない作品だが、ここまで苦戦を強いられたのはやはりアカデミー賞自体が変わってきているからだろう。
「JUNO」はインディ作品としては史上2番目となる大ヒットを記録。近年めざましい活躍を見せるフォックス・サーチライト配給の中でも、「リトル・ミス・サンシャイン」「サイドウェイ」を大幅に上回る興行収入を稼ぎ出している。昨年もっとも成功した作品の1本に数えていいだろう。ただし、作品賞を受賞するには小粒すぎ、娯楽色が強すぎるのもマイナスだ。
「フィクサー」は主要部門に限れば最多ノミネートであり、実はアカデミーにもっとも評価されている作品ということもできる。ハリウッドの兄貴分ジョージ・クルーニーの存在も大きく、支持票が期待できそうだ。唯一のメジャー配給作品という点もプラス。娯楽性を備えつつ、社会派なさ区品に仕上がっている点もバランスがいい。「つぐない」の次にアカデミー賞向きの作品といえそう。本命2作品を逆転する可能性があるとすればこの作品だろう。