第80回アカデミー賞結果を振り返って
まず管理人予想のあまりの外れっぷりを反省。24部門中10部門しかあたらずという過去最低の的中率。来年はもうちょっとまともに予想します。
さて、「ノーカントリー」が作品、監督、助演男優、脚色の4部門で勝者となった今年のアカデミー賞。終わってみれば順当な結果に落ち着いたが、それぞれの部門で次位との差はほとんどなかったように思う。対抗とされていた「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は主演男優賞と撮影賞を獲得。少し風向きが変わっていれば、脚色、監督、作品部門でも受賞していた可能性はある。ポール・トーマス・アンダーソンは近い将来オスカー像を手にする日がくるだろう。
しかしまあ、アカデミー賞なんぞ目もくれずに独自路線を歩んできたコーエン兄弟の作品がこれほどまで高く評価される日がくるとは、アカデミー賞も本当に変わったなという印象だ。ここ数年はインディ系映画の台頭や、ニューヨーク系映画人の評価など、以前では考えられなかった結果が続出。昨年のマーティン・スコセッシの受賞もアカデミー賞の変化を象徴する出来事だったが、今年のコーエン兄弟受賞もその流れを次ぐ結果といえる。というわけで、来年こそはシドニー・ルメット監督にがんばってほしいところだが……。
演技部門でもサプライズが続出。助演女優賞を受賞したティルダ・スウィントンは前哨戦通じてずっと3番手の位置を進んできたが、最後の最後に大魚を釣った形。「フィクサー」に貴重なオスカー像をもたらした。主演女優賞受賞のマリオン・コティヤールも快挙。思えば21世紀に入ってからのこの部門は美人女優の受賞が数多く見られており、もっとも華のあるコティヤール受賞は必然だったのかも。とはいえ、容姿に関係なく最高のパフォーマンスを見せた彼女の受賞は当然といっていい。
うれしい受賞は「ボーン・アルティメイタム」の編集、録音、音響編集での三冠。本来なら主要部門でノミネートされても不思議はない作品だけに、技術賞三賞では足りないくらいだが、まずは評価されたことを喜びたい。派手な効果満載の純ハリウッド大作「トランスフォーマー」ではなく、ハリウッド大作の定義を覆したハイクオリティ・ムービー「ボーン」が勝利をもぎとったことも、アカデミー賞のホンモノ志向がいっそう進行していることを証明しているといえそうだ。
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