[2008 Cannes] コンペティション部門結果速報!
審査員長ショーン・ペンほか審査員たちが選んだのは、意外や意外、フランスの新鋭ローラン・カンテ監督がある学校を舞台に母国の現状を描いた「壁の中で(原題)」だった。下馬評ではまったく有力視されていなかっただけに、受賞は驚きをもって迎えられた。
イーストウッドに初のパルム・ドールが手渡されるのかどうかに注目が集まっていたが、ペンら審査員のチョイスは、昨年のスティーヴン・フリアーズ同様、徹底的な若手の発掘だった。最高賞のカンテほか、グランプリのマッテオ・ガローネ、審査員賞のパオロ・ソレンティーノらは今回のメンバーの中ではまだまだ世界的な知名度の低い有望株。これからの才能を積極的に応援する姿勢が見て取れた。
逆に、世界の映画賞で豊富な受賞実績を持つベテランたちはことごとく賞を逃した。注目のイーストウッドは、キャリアを賞賛した“特別賞”という、何ともお茶を濁したような賞で主要賞から締め出された。そんな中で脚本賞を受賞したダルデンヌ兄弟は、よほどの力量・完成度と認められていいだろう。
主演男優賞は下馬評通りベニチオ・デル・トロ(CHE)が受賞。その他の部門がサプライズ続きだったことを思うと、ベニチオの受賞は逆にサプライズといっていいかもしれない。それだけ演技が突出していたということか。
ひとつ、首をかしげるのは、イスラエルのアニメ作品「Waltz with Bashir」の無冠。現地での評判は高く、審査員に昨年「ペルセポリス」でグランプリを受賞したマルジャン・サトラピや、イスラエル出身のナタリー・ポートマンが名を連ねていたにも関わらず、何の賞にもひっかからなかったのはナゼ?さすがに2年続けてアニメ作品に重要賞を与えるのは躊躇われたか。
■パルム・ドール
「壁の間で(原題)」(ローラン・カンテ監督)
ENTRE LES MURS(THE CLASS)
■審査員グランプリ
「ゴモラ(原題)」(マッテオ・ガローネ監督)
GOMORRA
■審査員賞
「神(原題)」(パオロ・ソレンティーノ監督)
IL DIVO
■監督賞
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
「スリー・モンキーズ(原題)」
■男優賞
ベニチオ・デル・トロ
「チェ(原題)」
■女優賞
サンドラ・コルヴェローニ
「境界線(原題)」
■脚本賞
ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
「ロルナの沈黙(原題)」
■特別賞
クリント・イーストウッド「チェンジリング(原題)」
カトリーヌ・ドヌーヴ「あるクリスマスの物語(原題)」