インディ初体験世代に向けられた新冒険ファンタジー ― 「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」レビュー
高校時代に劇場に何度も足を運び、観る度に映画の醍醐味を味わわせてくれたバイブルが前作「最後の聖戦」。今思えば奇跡的なこの傑作に比べると、今回の新作は少しピントのずれた凡作にしか映らない。一口で言ってしまえばサービス過剰。画的に派手な必要のない見せ場が盛り込まれるあたりは、いかにも今時のハリウッド映画だ。そもそもインディが誕生したのは、スピルバーグやルーカスが少年時代に胸をときめかせた連続活劇をスクリーンに蘇らせるのが目的だったと聞く。2人がインディを初めて見る世代に、同じような感動を味わってもらおうとして作ったのがこの映画なら、その感性についていけない自分は置いてけぼりを食った気分。昔ながらのインディファンは同じ気持ちでは。今時のハリウッド大作に見劣りしても、多少古臭いアナログなアクションでも、ハリソン・フォードの動きが緩慢でも、そこにインディの世界があればファンは満足できたはず。でも……。正直、エンドロールでお待ちかねのレイダース・マーチが流れても心躍ることはなかった。スケールアップが命題のハリウッドだけに続編は期待したくない。