[2008 Venice] 第65回ヴェネチア国際映画祭 コンペ部門エントリー
ニュースでも大きく取りあげられている通り、今年のヴェネチア国際映画祭は3本の日本映画がコンペティション部門に選出されたことが最大の特徴。他にも「運命の逆転」のバルベット・シュローダー監督が江戸川乱歩の『陰獣』を映画化した「Inju, la Bete dans l’Ombre」あり、日本が製作に名を連ねるユー・リクウァイ監督の「Plastic City」と、とにかくこれまでに例を見ないほど日本色が濃い映画祭となっている。
過去、「HANA-BI」で金獅子、「座頭市」で銀獅子賞を受賞している北野武は、売れない絵描きとその妻の愛情物語「アキレスと亀」で5回目のヴェネチア参戦。今回の新作は自身もお気に入りとのことで、再度の金星があるかもしれない。
一方、「ハウルの動く城」でオゼッラ賞を受賞し、06年に栄誉金獅子賞を受賞している宮崎駿監督も大ヒット中の「崖の上のポニョ」で参戦。近年の宮崎映画の中では特にファミリー映画としての色が濃い本作に、ヴェネチアがどう反応するか興味深い。
海外での評価高い押井守監督の新作「スカイ・クロラ」もエントリー。押井監督にとっては初のヴェネチア参戦となる。アカデミー賞候補となった菊地凛子が声優として参加しているのも強みで、満を持して登場の押井がどんな評価を受けるのか楽しみだ。
注目は「バベル」「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」などの脚本で知られるギレルモ・アリアガの監督デビュー作「The Burning Plain」。今年のカンヌに初監督作品を送り込んだ脚本家チャーリー・カウフマン(「Synechdoche, New York」)は無冠に終わったが、カンヌ、ヴェネチアでの実績に勝るアリアガだけに期待は大きい。
他、ダーレン・アロノフスキー「The Wrestler」、ジョナサン・デミ「Rachel Getting Married」などにも要注目だが、何にせよ今年のヴェネチアは日本映画を中心に回っていくことになりそうだ。
エントリー作品一覧
The Wrestler(監督:ダーレン・アロノフスキー/アメリカ)
The Burning Plain(監督:ギレルモ・アリアガ/アメリカ)
Il papa di Giovanna(監督:プピ・アヴァティ/イタリア)
BirdWatchers(監督:マルコ・ヴェキス/イタリア)
L’Autre(監督:パトリック・マリオ・ベルナルド、ピエール・トリヴィティック/フランス)
The Hurt Locker(監督:キャサリン・ビグロー/アメリカ)
Il seme della discordia(監督:パッピ・コルシカート/イタリア)
Rachel Getting Married(監督:ジョナサン・デミ/アメリカ)
Teza(監督:ヘイレ・ゲリマ/エチオピア・ドイツ・フランス)
Paper Soldier(監督:アレクセイ・ジャーマン/ロシア)
Sut(監督:セミス・カプラノグル/トルコ・フランス・ドイツ)
アキレスと亀(監督:北野武/日本)
崖の上のポニョ(監督:宮崎駿/日本)
Vegas: Based On A True Story(監督:アミール・ナデリ/アメリカ)
スカイ・クロラ The Sky Crawlers(監督:押井守/日本)
Un giorno perfetto(監督:フェルザン・オズペテク/イタリア)
Jerichow(監督:クリスティアン・ペツォールト/ドイツ)
Inju, la Bete dans l’Ombre(監督:バルベット・シュローダー/フランス)
Nuit de chien(監督:ヴェルナー・シュローター/フランス・ドイツ・ポルトガル)
Inland (Gabbla)(監督:Tariq Teguia/アルジェリア・フランス)
Plastic City (Dangkou)(監督:ユー・リクウァイ/ブラジル・中国・香港・日本)