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[Weekend Report] SF超大作「地球が静止する日」は平凡スタート

いよいよ年末年始興行に突入したBoxOffice。口火を切ったのは20世紀フォックス配給のSF超大作「地球が静止する日」だ。オリジナルはロバート・ワイズ監督のクラシックSFムービーで、公開当時の米ソ冷戦の世相を暗喩した物語が恐怖を煽る傑作と評価されている。主人公クラトゥや彼を守るロボットのゴートなど、人気の高いキャラクターたちがどんな風に生まれ変わるのか、ファンたちの間で話題を呼んでいたリメイク企画だった。

が、映画は首位デビューを飾ったものの、オープニング3日間で3100万ドルの興収というイマイチな成績に終わった。その最たる原因は、やはりオリジナルと比較するのもおこがましい作品のクオリティの低さにあるだろう。批評家たちからは容赦ない罵声を浴びせられており、派手な特殊効果だけが見せ場の三文ムービーと断じられている。おそらくライバルがこぞって市場に参入する来週以降は集客が激減するはずで、1億ドルの大台超えすら難しいというのが正当な評価となりそうだ。


7位に初登場はクリスマスに集合する家族が体験する悲喜こもごもを描いたドラマ「Nothing Like The Holidays」。1681館の公開でオープニング興収350万ドルは低水準で、作品の内容をうまくクリスマス興行に結びつけることができなかった。ジョン・レグイザモ、フレディ・ロドリゲスらBoxOffice実績皆無の俳優を集めたこの小品をこの規模で公開することは冒険だったが、残念ながら賭けは失敗。配給のオーバーチュア・フィルムズの真意は謎だ。同社はこの年末にダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン主演のロマンス映画「Last Chance Harvey」をリリースするが、どんな興行を展開するつもりなのか注目だ。

「チェンジリング」の全米公開からわずか2ヶ月で、クリント・イーストウッド監督の新作が早くもリリース。人種差別に凝固まった老人を描いたドラマ「グラン・トリノ」は、「ミリオンダラー・ベイビー」以来となるイーストウッド主演作。彼の最後の主演作になるとも噂されており、アカデミー賞主演男優賞受賞の呼び声も高い。イーストウッドの勇姿見納めとあって、ファンも映画館につめかけた。限定6館での封切りで、1館あたりのアベレージは実に47000ドルという大ヒットスタートを切った。批評家からの評価も一様に高く、イーストウッドの評価をさらに高める一作ということになりそうだ。ただし、「ミスティック・リバー」や「ミリオン~」ほどの絶賛票に染まっているというわけではなく、前哨戦序盤で鈍い脚色を見せていることからも、アカデミー賞作品賞部門で大威張りできる存在とも言い切れない。「チェンジリング」との票割れも懸念され、やはり最もノミネートの可能性が高いのはイーストウッドの主演男優賞ということになりそうだ。

舞台を映画化したジョン・パトリック・シャンレイ監督作「Doubt」も好スタート。15館の公開でアベレージ35000ドルとレベルの高い興行を見せた。批評家からの反応は予想されたほどよくはなかったが、メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマンをはじめとする出演者たちの演技は軒並み絶賛されており、アカデミー賞演技賞部門に手が届きそう。特に主演のストリープはノミネートの可能性高く、通産15度目の候補が視野に入った。そろそろ3つ目のオスカー像をあげてもいいような気もするが……。

ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説を映画化した「愛を読むひと」もアベレージ21000ドルとなかなかのヒットスタート。脚本デヴィッド・デア&監督・スティーヴン・ダルドリーという「めぐりあう時間たち」のコンビでめくるめく官能の世界を描く。主人公の少年が恋をするミステリアスな年上の女性役にケイト・ウィンスレット。すでに発表されている前哨戦ではいくつかの賞に名前が挙がっているが、批評家からの評価は意外と手厳しい。賛否半々に分かれる結果となっており、アカデミー賞主要部門に絡むにはやや支持が足りないか。

カンヌ国際映画祭でベニチオ・デル・トロが主演男優賞を受賞した「チェ」(日本では「28歳の革命」「39歳 別れの手紙」の2部作として来年公開)がアベレージ30000ドルと、長尺にもかかわらず好調。拡大公開でのヒットはほぼ望めないだけに、限定公開でこのまま好調を維持したいところ。批評家からは悪くない評価を受けているものの、絶賛とまでは言いがたい評価。アカデミー賞はベニチオ・デル・トロの主演男優賞があるかどうかといったところか。

TW LW Title 配給 Weekend 劇場数 Total
1
N
地球が静止する日 Fox
$31,000,000
3,560
$31,000,000
1
2
1
Four Christmases WB (NL)
$13,270,000
3,540
$87,972,000
3
3
2
トワイライト/初恋 Sum.
$8,013,000
3,649
$150,108,000
4
4
3
Bolt BV
$7,506,000
3,133
$88,891,000
4
5
4
オーストラリア Fox
$4,285,000
2,703
$37,883,000
3
6
5
007/慰めの報酬 Sony
$3,800,000
2,635
$157,668,000
5
7
N
Nothing Like the Holidays Over.
$3,500,000
1,671
$3,500,000
1
8
6
マダガスカル2 P/DW
$3,250,000
2,768
$170,006,000
6
9
11
ミルク Focus
$2,636,000
328
$7,630,000
3
10
7
トランスポーター3 LGF
$2,250,000
2,541
$29,276,000
3

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