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[Weekend Report] 「マーリー」が激戦を制して年末年始興行をリード!

全体的に低調だった前週の反動か、今週は封切られた新作が軒並み水準以上の数字をたたき出す好景気となった。BoxOffice全体の興収は、12月の売り上げとしては歴代TOPとなる1億8200万ドル。これは、従来の記録である昨年の1億6800万ドル(首位は「ナショナル・トレジャー2」)を大きく上回る数字となる。

そんな好景気の中で頭1つ抜け出したのは、オーウェン・ウィルソン&ジェニファー・アニストン主演のコメディー「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」。新聞紙のコラムニスト、ジョン・グローガン著のベストセラー・エッセイの映像化で、監督は「プラダを着た悪魔」のデヴィッド・フランケル。グローガン家と1匹のラブラドール・レトリーバーの可笑しくも感動的な日常を描く。
クリスマスの木曜日に初日を迎えると、4日間で5100万ドルを稼ぎ出す好スタートで、強力なライバルたちをねじ伏せた。配給の20世紀フォックスは今年1年散々な興行成績を続けていたが、最後の最後にヒット作に恵まれた。一昨年のこの時期に公開されて2億5000万ドル超を売り上げた同社のヒット作「ナイト ミュージアム」の最初の週末の売り上げが3000万ドル弱だったのと比較すれば、「マーリー~」の興行ポテンシャルがよくわかるというもの。年末年始は息の長い興行が期待できるため、「マーリー~」が2億ドル突破のヒットになる可能性は極めて高い。
20世紀フォックスは去年もこの時期に「アルビン 歌うシマリス3兄弟」を2億ドル超のヒットに導いており、年末年始興行にかけては他社をリードしている印象だ。


首位デビューが期待されていたアダム・サンドラー主演作「ベッドタイム・ストーリー」は2位でデビュー。4日間で3800万ドルと、首位の「マーリー~」に大きく水をあけられてしまった。サンドラー扮する主人公が子供に話して聞かせる寝物語が現実化してしまい……というファンタジー・コメディーで、監督は「ヘアスプレー」を大ヒットに導いたアダム・シャンクマン。ファミリー向けのプロットで、サンドラー主演で大人にもアピールの皮算用だったが、いまひとつハジケきれなかった。シャンクマンを監督に起用したことで作品のクオリティにも期待したかったが、批評家からの評価は芳しくなく、この年末年始興行を乗り切る
には心もとない結果となっている。何より、ファミリー層を「マーリー~」に奪われてしまっている現状が重くのしかかりそうだ。

アカデミー賞最多ノミネートの呼び声も高い「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」が2988館で封切られ、4日間で3900万ドルを売り上げるヒットスタートを切った。上映時間が2時間40分近い長尺にもかかわらず客足はよく、アベレージでは2位の「Bedtime Stories」を上回っている。
批評家からの評価も上々で、作品賞、監督賞、主演男優賞(ブラッド・ピット)をはじめとするアカデミー賞多部門ノミネートが期待される。来年1月22日に予定されているノミネーション発表まで息の長い興行を続けることになりそうで、1億ドル超の商いになることはほぼ確実だろう。1億ドル突破となれば、最多ノミネートからのポール・トゥ・ウィンの可能性が濃厚だ。

4位にランクインは、公開日の度重なる延期が様々な噂を呼んだ「ワルキューレ」。トム・クルーズが眼帯姿でヒトラー暗殺の命を受けたドイツ人を演じるピリオド・スリラーで、監督は「スーパーマン リターンズ」のブライアン・シンガー。2711館の公開で4日間興収3000万ドルとなかなかのスタート。トム・クルーズの集客力というよりも、良くも悪くも作品の話題性が大きかった結果と言えそうだ。批評家からもそれほど悪くない評価を受けており、公開前に口さがなく囁かれた“世紀の大失敗作では?”といった憶測は間違っていることを証明した。とはいえ、決してよくできた映画という評価でもなく、今後の興行は楽観視できない。パラマウントを離れてから精彩を欠くクルーズとしては、何とかこの作品で1億ドル超の実績を残しておきたいところだが……。

9位には「シン・シティ」の原作者兼監督フランク・ミラーがメガホンを取ったクライムアクション「The Spirit」がランクイン。「シン・シティ」を髣髴とさせるヴィジュアルで展開されるダークなヒーローものだが、その出来栄えは先達の足元にも及ばないとこき下ろされている。
そもそも、この映画のフッテージ映像がコミコンで紹介された際、観客から失笑が漏れ、イベントでは途中退出者が続出するという“異常事態”が発生していたことから、映画の失敗を予測する声が多かったのも事実。配給のライオンズゲートは、それでも本作に2509館という多数の劇場を確保したが、ヒットには結びつかなかった。

限定公開組では、レオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレット主演のドラマ「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」が3館で公開され、1館あたりのアベレージ64000ドルという大ヒットスタート。「タイタニック」の主演コンビ再来という大きな話題もさることながら、監督は「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデスで、今年のアカデミー賞戦線での活躍も期待される骨太のドラマであることが集客につながったようだ。
批評家からの反応も上々で、有名な原作小説のエッセンスをうまく抽出しているとの評価。レオ&ケイトの主演コンビの演技は絶賛されており、アカデミー賞ノミネートの可能性も高い。

TW LW Title 配給 Weekend 劇場数 Total
1
N

マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと

Fox
$37,000,000
3,480
$51,675,000
1
2
N
ベッドタイム・ストーリー BV
$28,069,000
3,681
$38,598,000
1
3
N
ベンジャミン・バトン/数奇な人生 Par.
$27,000,000
2,988
$39,008,000
1
4
N
ワルキューレ UA
$21,531,000
2,711
$30,024,000
1
5
1
イエスマン~"YES"は人生のパスワード WB
$16,450,000
3,434
$49,591,000
2
6
2
7つの贈り物 Sony
$13,400,000
2,758
$39,026,000
2
7
3
The Tale of Despereaux Uni.
$9,368,000
3,107
$27,945,000
2
8
4
地球が静止する日 Fox
$7,900,000
2,402
$63,615,000
3
9
N
The Spirit LGF
$6,510,000
2,509
$10,352,000
1
10
15
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1,267
$8,825,000
3

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