[最終受賞予想] 外国語映画賞
外国語映画賞
Revanche(オーストリア)
The Class(フランス)
バーダー・マインホフ 理想の果てに(ドイツ)
○戦場でワルツを(イスラエル)-下馬評◎
◎おくりびと(日本)
イスラエルの鬼才アリ・フォルマンが自身の戦争体験を綴る「戦場でワルツを」が実績上位。ドキュメンタリー・アニメーションという珍しいジャンルが受けている感はあるが、本線では逆にそれが不安材料になるかも。ドキュメンタリー、アニメーションともに外国語映画賞部門には縁がなく、実写フィクション映画とのハンデは明らか。90分という短い上映時間もマイナスになるかもしれない。対抗とされる「The Class」はカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。カンヌ受賞作はアカデミー賞との相性がよくなく、まさに水と油の関係だけに強くは推せない。ただ、フランス映画は92年の「インドシナ」以来受賞から遠ざかっているのでそろそろ……という期待感はある。
日本からエントリーの「おくりびと」は、暗い内容ばかりの候補作の中では唯一後味のよいヒューマンドラマ。日本独自の文化をアカデミー会員が”アジアの神秘”として有難がった結果のノミネートだけに、一気に受賞もありうる。
参考:作品レビュー
「バーダー・マインホフ 理想の果てに」
ドイツ赤軍として権力と戦った若き戦士、アンドレアス・バーダーとウルリケ・マインホフの半生を描く。獄中で死んだ2人の死の真相を探るサスペンスもあり、高いテンションとスピードに引っ張られて2時間40分弱の長編があっという間だ。ドイツのもうひとつの負の歴史を、2人の主人公に肩入れすることなく客観的に描いた。その突き放した描写が逆に主人公たちの痛みを強く表現している。
「戦場でワルツを」
レバノン戦争に従軍した経験のある監督アリ・フォルマンの個人的な体験をアニメーションで映像化したドキュメンタリー。戦時の記憶を喪失したアリが、記憶を取り戻すために戦友たちを訪ね歩く。色彩豊かなアニメーション映像も見所だが、”記憶は曖昧なもの”という事実をアニメーション映像で具体化した手法が面白い。その手法がラストシーンの衝撃を増幅させる。