[最終受賞予想」 主演男優賞
主演男優賞
◎ショーン・ペン(ミルク) -下馬評◎
ミッキー・ローク(レスラー)
○フランク・ランジェラ(フロスト×ニクソン)
リチャード・ジェンキンス(The Visitor)
ブラッド・ピット(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)
焦点はズバリ、アカデミーは果たしてショーン・ペンの2回目の受賞を認めるのかの1点だ。前哨戦実績は申し分なく、演技の質もキャリア最高。オスカー受賞の資格は十分にある。2度目の主演男優賞受賞となれば、現役ではダスティン・ホフマン、トム・ハンクス、ダニエル・デイ・ルイスら名優たちと肩を並べる存在となる。ペンに果たしてその資格があるかどうかがジャッジされる。
アカデミーは近年も、2回目の受賞を有力視されたダニエル・デイ・ルイス(ギャング・オブ・ニューヨーク)や、3回目を狙うジャック・ニコルソン(アバウト・シュミット)らを時期尚早との理由から退けている。ペンはまだ1度目の受賞(間04年「ミスティック・リバー」)から日が浅く、同様の理由でハジかれる危険がある。最近は政治的なパフォーマンスも目に付き、決して同業者たちから100%のリスペクトを受けているとはいえないペンだけに、2度目を拒絶する動きは想像以上に顕著に現れそうな気配もある。
ただ、今年は対抗馬にもアカデミーが投票を躊躇う要素が多い。前哨戦でペンに劣らない実績を残したミッキー・ローク(レスラー)は、はっきりいえば人望がない。一度は栄華を極めながらスランプに陥ったのは、自身の人となりに問題があったのが原因。前哨戦各賞の授賞式での派手な衣装を見る限り、カムバックを果たした今も人格は変わっていない印象を受ける。
フランク・ランジェラ(フロスト×ニクソン)は、実在の人物を演じているという点で、ミッキー・ロークよりポイントが高い。また、ロークと違って人望もあり、長いキャリアへの賞賛が得票につながることも考えられる。前哨戦実績ではロークに劣るが、こちらを二番手として見るほうが妥当かもしれない。
結論
2度目は時期尚早とは思うが、ペンの演じたミルクは間違いなくキャリアベスト演技。昨年「イントゥ・ザ・ワイルド」で監督賞落選の同情票も集まり、受賞に王手。ペンの2度目が嫌われればランジェラが漁夫の利。