過去数年の中ではダントツに素晴らしかった今回の授賞式
今年の授賞式は本当に素晴らしかった。「ドリームガールズ」の製作&監督コンビがプロデュースした授賞式は、単純に派手なミュージカルの見せ場があるだけではなく、細部にまで工夫が凝らされた素晴らしい式だった。
まず目立ったのが演技賞のプレゼンターに過去の受賞者5人を呼び寄せたこと。受賞者1人1人が今年のノミニーたちの功績を称えるという涙が出そうなほど憎い演出だ。友人ショーン・ペンを冗談交じりに称えるロバート・デニーロや、腰に手をあてて仁王立ちしながらメリル・ストリープに賛辞を贈るソフィア・ローレンなど、早くも名場面が多数生まれた。この形式はぜひ次回以降も続けて欲しい(数年で弾切れになる不安はとりあえず置いといて……)。
また、受賞者のスピーチに時間制限を設けなかったことも、簡単なようで実に勇気の要る素晴らしい措置。視聴率回復のために時間短縮を命題としてきた過去数年の取り組みが完全な間違いだったことを、今回の授賞式の視聴率でぜひとも証明して欲しいものだ。
他、ジャンルごとに分けられた2008年公開映画の紹介映像があったり、メモリアル・トリビュートでクィーン・ラティファが静かに歌い上げたり、もちろんミュージカルの見せ場もふんだんにあり、豪華で工夫に満ちた満足のいくショウだった。式の長さも約3時間半と、盛りだくさんだったわりにはコンパクトにまとめられていた。技術賞部門の発表を映画製作のプロセス毎に区切ってまとめて発表したり、ステージを円形に取り囲むように座席を配置して壇上までの距離を縮めたり、時間短縮の工夫もこらされていた。過去に、不人気部門の受賞者は壇上に上げず座席で受賞、なんていうバカげた取組みもあったことを考えれば、今年の工夫がいかに優れていたかよくわかる。
ヒュー・ジャックマンも余裕しゃくしゃくのホストぶりで男が上がった。今回は軽妙なミュージカルスターを演じ切った形だが、さらに余裕の出る次回は自分の二枚目ぶりを笑い飛ばすセルフパロディにも挑戦して欲しい。
ここ数年お休みしてしまっている授賞式レポート、今年は何とか復活したいと思ってますので、授賞式を見られなかった方はお楽しみに……。