[2009夏興行展望] X-MEN ZERO:ウルヴァリン
■ X-MEN ZERO:ウルヴァリン
監督:ギャヴィン・フッド
出演:ヒュー・ジャックマン、リーフ・シュライバー、ライアン・レイノルズ
配給:20世紀フォックス
OP興収予想:9500万ドル
総興収予想:2億1000万ドル
物語:
「Xメン」シリーズでもたびたび語られてきたウルヴァリン誕生の秘密をさらに掘り下げて描く”オリジン”シリーズ第1弾(次回作はイアン・マッケラン演じる敵役キャラ、マグニートーのオリジンを描く「X-Men Origins: Magneto」が予定されている)。ジェームズ・ヒューレット(ローガン)とヴィクター・クリードという青年が、政府が秘密裏に進めるWeapons Xプロジェクトに組み込まれ、それぞれ”ウルヴァリン”、”セイバートゥース”というミュータントとして再生する。
展望:
1作目が1億5700万ドル、2作目が2億1400万ドル、3作目が2億3400万ドルと、シリーズを重ねる毎に興収を伸ばしている大人気シリーズ最新作が夏興行のトップを飾る。ただし、今回は趣向を新たに人気キャラクターたちのオリジン(起源)を描くプロローグとなっており、続編としての興行価値を維持出来ているかは未知数だ。とはいえ、このオリジンのシリーズ化をも目論む20世紀フォックスとしては、最も人気のあるキャラクターをフィーチャーした本作で最低2億ドルの興収を見込んでいることだろう。実際、アカデミー賞授賞式のホストと務め、知名度・好感度ともに急上昇のヒュー・ジャックマン効果で、ノルマクリアの可能性は低くない。前作「Xメン ファイナル・デシジョン」のオープニング1億200万ドルに迫るスタートが期待される。
前作は大ヒットを記録したものの、ブレット・ラトナー監督の演出はファンに不評で批評家からの支持も得られなかった。20世紀フォックスはこのスピンオフで新たなスタートを切るため、アカデミー賞監督(「ツォツィ」で外国語映画賞受賞)ギャヴィン・フッドを監督に大抜擢。しかし、シリアスなドラマとして本作を描きたいフッドのヴィジョンに賛同せず、これまでのシリーズ同様PG-13で公開するようフッドに一部シーンの撮り直しを命じたなどの噂も立っている。製作過程でのこうしたモメごとが絶えない20世紀フォックスだけに、今回の噂も信憑性がありそうで、両者の溝が埋まらずに製作が進められたとすると、残念な仕上がりになってしまっている可能性もある。予告編を見る限り、目を奪うようなヴィジュアルは存在せず、マンネリ打破の魅力を持っているとは言い難い。それでも同シリーズが大好きな全米の映画ファンは初日に劇場に足を運ぶだろうし、それなりの興収はあげられるはずだ。