[2009夏興行展望] カールじいさんの空飛ぶ家
■ カールじいさんの空飛ぶ家
Up
監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
出演:エドワード・アスナー、ジョーダン・ナガイ、ジョー・ラッツェンバーガー
配給:ディズニー
OP興収:4700万ドル
総興収:2億ドル
物語:
78歳のカールはある日、長年の夢を実現させるべく行動に出る。自分の家に何千もの風船をくくりつけ、家ごと空を飛んで旅をしようというのだ。カールじいさんの奇想天外なたびが幕を開ける。監督は「モンスターズ・インク」のピート・ドクター。
展望:
06年「カーズ」(総興収:2億4400万ドル)、07年「レミーのおいしいレストラン」(総興収:2億600万ドル)、08年「ウォーリー」(総興収:2億2300万ドル)と、3年連続夏興行に新作を発表し続けているピクサー。コンスタントに2億ドル以上を稼ぐ驚きの興行力で、95年の「トイ・ストーリー」以来、10年以上にわたりCGアニメの分野を牽引している。すでにピクサー・ブランドが完全に浸透している今となっては、作品のジャンルや物語は興行にほぼ影響しないと言っていい。今回の新作は風船じいさんの冒険物語で、ファミリー層にはウケにくそうな”おじいさん”が主人公。それでもピクサーのことならきっと家族みんなで楽しめる作品に仕上がっているはずで、何よりその信頼感が動員をキープする最大の理由になっている。
とはいえ、興収はここ数年頭打ち状態であることも確か。3億3900万ドルを稼いだ「ファインディング・ニモ」は別格として、ここ数年は2億ドル前半の壁を破れていない。現在のピクサーの興行力は平均して2億ドル前後と評価するのが妥当だ。批評家から絶賛され、ピクサー史上最高傑作とも言われた「ウォーリー」が2億2300万ドルの興収にとどまったのは、ある意味ピクサーの限界を物語っているとも言える。「ウォーリー」に比べキャラクター的にも物語的にも押しの弱い本作では、それ以上の興収をあげる可能性は低いと言わざるを得ない。おそらく「レミーのおいしいレストラン」と同等の興行になるのではないか。