「アバター」がついに全米公開!初日興行の結果は……!?
日本では来週23日(水・祝)に公開される今年最高の話題作「アバター」がついに全米公開を迎えた。気になるオープニング・デイ興行だが、3452館(うち2038館で3D上映)の封切りで木曜深夜興行も含む売り上げは2700万ドルを記録。これは12月の封切り作品としては、「ロード・オブ・ザ・リング/王の機関」「アイ・アム・レジェンド」に続いて3番目、全体では33番目となる数字で、今年最高のオープニング・デイ興収をはじき出した「ニュームーン/トワイライト・サーガ」の7200万ドルと比較すると約1/3にしか満たない。「ニュームーン」のバカげた数字との比較は参考にならないとしても、事前の異常な盛り上がりからすると少し物足りなく映ることは確かだ。
とはいえ、12月の公開作品は年末年始ホリデイ・シーズンに大きく興収を伸ばし、その後1月2月の空き巣時期も息の長い興行を続け、オープニング・デイ興収は全体の10%以下にまで引き下がる傾向にある。実際、キャメロンの前作「タイタニック」も12月に公開されて初日に870万ドルを稼ぐと、実に翌年の4月まで週末興収が1000万ドルを超える腰の強い興行を展開した。さすがにこれは異常だとしても、例年この時期のBoxOfficeを制する作品は、年末年始興行で二枚腰を発揮して確実に2億ドル超の興収をあげている。
加えて、「アバター」は一般興行より割高の3D料金、IMAX料金の売り上げも見込めるため、「タイタニック」当時と比較しても観客1人あたりの売り上げは大幅にアップ。さらに映画の評判もすこぶるよく、批評家からも絶賛の声が相次ぎ、アカデミー賞作品賞ノミネートも確実視されている。そうした条件からしても、最終的には興収3億ドル超は確実、4億ドルにも手が届くのではないか。
1点不安があるとすれば、来週末にまだ強力なライバルの公開が控えていること。あろうことか同じ20世紀フォックスが、大ヒット作「アルビンと歌うシマリス3兄弟」の続編を市場に送り込むのに加え、興行絶好調のワーナーが今年最後に送り込む刺客「シャーロック・ホームズ」も3600館規模の拡大公開を予定しており、さらにはユニバーサルも年末商戦に実績のあるナンシー・メイヤーズ監督によるロマンティック・コメディ「恋するベーカリー」を投入する。
これだけの強力な新作が公開されるとあっては、さすがに「アバター」も2週目で大きく数字を落とす可能性がある。2週目の落ち幅を最小限に抑えられないと、年末年始興行でこの3作品に遅れをとることになり、そのまま尻すぼみの興行を余儀なくされることも十分考えられる。幸い、「アルビン」がファミリー層、「ホームズ」が若年層、「ベーカリー」がアダルト層ときれいにターゲットが分かれているため、市場自体はだいぶ活性化しそうな気配。この波に乗ってさらに浮動層を集客できれば、2週連続首位も夢ではない。
さて、”映画世界の王”キャメロンが12年ぶりに放つ新作は、映画「タイタニック」並みにしぶとい航海を続けるのか、それともタイタニック号のように航海半ばで沈没してしまうのか――。2週目の興行にも一層注目したい。