アカデミー賞ノミネーション発表!協会の思惑通りの結果に!?
第82回アカデミー賞ノミネーションが発表され、本命視されている「ハート・ロッカー」と「アバター」がともに最多9部門にノミネートされた。
奇しくもキャスリン・ビグローとジェームズ・キャメロンの元夫婦による作品が今年一番の栄冠を競って争うわけで、ノミネート枠の拡大といい、メガヒット作「アバター」の存在といい、これほど話題性に富んだアカデミー賞は過去に例がないだろう。
作品賞部門では「しあわせの隠れ場所」が大逆転のサプライズ・ノミネート。公開時は批評家からそれほど好意的なレビューは受けていなかったが、前哨戦後半戦でサンドラ・ブロックのBUZZが上昇するにつれ、作品の評価も高まっていたようだ。興行収入も2億ドルを超える大ヒット作で、アカデミー協会としては嬉しい誤算か。SFモキュメンタリー「第9地区」も堂々のノミネート。計4部門で候補にあがる大健闘を見せた。
一方で落選組はクリント・イーストウッド監督の「インビクタス 負けざる者たち」。主演男優賞、助演男優賞のみの候補にとどまった。「ハングオーバー」は同じワーナー作品に遅れをとるまさかの事態。やはりコメディー作品はまだアカデミー賞で市民権を得ることは出来ないようだ。作品賞ノミネート10作品を見渡すと、うち5本は1億ドル超のヒット作で、授賞式の視聴率アップを目指すアカデミー協会の思惑通りにコトが進んだ印象だ。
演技賞部門は概ね順当な結果だが、助演女優賞でマギー・ギレンホール(Crazy Heart)がノミネートされるサプライズ。主演男優賞で本命視される共演ジェフ・ブリッジスへの援護射撃になるだろう。
脚色賞部門では、強豪を押しのけ、小品「In the Loop」が堂々のノミネート。撮影賞部門では、ロジャー・ディーキンス(A Serious Man)やディオン・ビーブ(NINE)などの名手を抑えて、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」のブリュノ・デルボネルがノミネートされる波乱。「ハリポタ」は今回まったく下馬評に名前が挙がっていなかったが、重要な技術賞で一矢を報いて見せた。
外国語映画賞部門では、カンヌ国際映画祭のワンツー、パルムドール受賞の「白いリボン」とグランプリ受賞の「A Prophet」が揃ってノミネート。受賞もこの2本で争うことになりそうだ。
そして日本人注目の長編アニメーション映画賞だが、期待の「崖の上のポニョ」は残念ながら落選。下馬評では5番手評価だったが、フランス製アニメ「The Secret of Kells」の強襲に遭い、ノミネートを逃した。
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