長編アニメ部門で「ポニョ」を破ったアニメは何者!?
今年のアカデミー賞で最大級のサプライズ・ノミネートと言っても過言ではないのが、長編アニメーション映画賞部門でノミネートされた「The Secret of Kells」だ。この作品、アメリカでは昨夏開催されたニューヨーク国際子供映画祭(New York International Children’s Film Festival)で上映され、今年3月から順次公開される予定のフランス製アニメ。幼い少年が、海賊たちの手から国宝”Book of Kells”を守るというプロットで、画像を見てもらえばわかるように、かなり特徴のある絵柄で独特の表現が用いられている。
実はこの作品が見事ノミネートを勝ち取った背景には、配給のGKIDSフィルム(ニューヨーク国際子供映画祭の配給Division)によるWEB戦略が大きく関与しているようだ。宣伝チームは作品のPRに多額の宣伝費をかける代わりに、EメールやFacebookなどで数多のアニメスタジオに対して草の根的なキャンペーンを展開。作品の評価をバイラルに広めていった。スタジオに勤めるプロたちによるクチコミは強力で、その評判はついにアカデミー会員たちにも届いたということだ。
米国ではディズニーによって配給された「崖の上のポニョ」は、受賞が確実視される同社の「カールじいさんの空飛ぶ家」との兼ね合いから、おそらく満足なPRキャンペーンを敷いてもらっておらず、そのあたりの差が今回如実に出てしまったと言えそうだ。