[受賞最終予想] 短編アニメーション映画賞
96年の「~危機一髪!」以来14年ぶりの短編発表となる「ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」が圧倒的な存在感を見せ付けている今年の同部門。過去、同シリーズは3本の短編と1本の長編全てがアカデミー賞にノミネートされており、実にそのうちの3本が受賞を果たしている。アカデミー会員はウォレスとグルミットが愛してやまないようで、今回も当然大本命視されてしかるべきだろう。
ただし、今回は強烈なインパクトで会員たちにアピールする作品がある。企業のロゴで埋め尽くされる世界で、有名キャラクターたちが縦横無尽にアクションを繰り広げる風変わりなアニメーション「Logorama」だ。親しみのあるロゴが無数に登場する16分のアニメは視覚にも楽しいが、行き過ぎた資本主義と広告過多の情報社会への強烈な皮肉になっていてドキリとさせられる。”アメリカ批判”がひとつのキーワードになっている今年のアカデミー賞だけに、牧歌的なイギリスのクレイ・アニメではなく、刺激に満ちた問題作が選ばれる可能性は低くない。
French Roast (監督:Fabrice Joubert) フランス 8分 物乞いを冷たくあしらう無慈悲な主人公が、とある喫茶店で会計の際に財布を忘れたことに気付き……。 |
Granny O’Grimm’s Sleeping Beauty (監督:Nicky Phelan) アイルランド 6分 おばあちゃんが孫におとぎ話を話して聞かせるが、あまりの恐ろしさに孫は震え上がってしまい……。 |
The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte) (監督:Javier Recio Gracia) スペイン 8分 死の淵に立つ老婦人。死神と医者が老婦人の命をめぐって激しいバトルを繰り広げる。 |
◎ Logorama (監督:François Alaux、Herve de Crecy、Ludovic Houplain) アメリカ 16分 企業のロゴが全てを埋め尽くす世界。強盗犯のロナルド・マクドナルドをはみ出し刑事のミシュランマンが追い詰める。 |
○ ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢 (監督:ニック・パーク) イギリス 30分 パン屋を営むウォレスとグルミットの前に現れたある女性。2人は彼女をパン屋連続殺人犯なのではと疑い始める。 |