[受賞最終予想] 主題歌賞
この部門で圧倒的な強さを誇るディズニー・アニメ。今年も「プリンセスと魔法のキス」で2曲を送り込んで万全の布陣だ。ただし、80~90年代に見せ付けてきた強さは、21世紀に入ってすっかり影を潜めている。ディズニー作品がこの部門で受賞したのは2001年の「モンスターズ・インク」が最後で、このときの受賞も半分は14回ノミネートされながら受賞ゼロ(当時)のランディ・ニューマン御大に対する同情票によるものだった。象徴的なのは2年前の「魔法にかけられて」で、黄金時代のオスカー・ゲッター、アラン・メンケンが手がけた3曲の楽曲がノミネートされるも、オスカー像は知名度の低いインディ作品(「ONCE ダブリンの街角で」)の手に渡った。
近年の受賞楽曲もバラエティに富んでいる。昨年はインド映画音楽の巨匠A・R・ラーマンが手がけた「スラムドッグ$ミリオネア」が受賞し、06年は大ベテラン、メリッサ・エストリッジが歌うメッセージ・ソング(「不都合な真実」)が、豪華布陣の「ドリーム・ガールズ」楽曲たちを破る快挙があった。他にもラップあり(05年「ハッスル&フロウ」、02年「8マイル」)、ラテン・ミュージックあり(04年「モーターサイクル・ダイアリーズ」)とジャンルは様々だ。今年もディズニー・ソング2曲のほかに、カントリーやフランス語楽曲、ブロードウェイ・ミュージカルなど個性ある楽曲が揃っており、会員たちは頭を悩ませることになりそう。
データの数は少ないながら、前哨戦をリードしたのは「Crazy Heart」。これを「プリンセスと魔法のキス」の”Almost There”が追う展開だ。前者は若干28歳のライアン・ビンガムが手がけたカントリーソング(大物プロデューサーとの連名だが、おそらくオリジナルはビンガムの手によるものだろう)。先に行われたグラミー賞では同じくカントリーの歌姫テイラー・スウィフトが脚光を浴びるなど、今カントリーは全米でもっとも熱いジャンルと言える。流行りに乗ることも厭わず(ラップ称賛)、畑違いの新人も歓迎(ONCE)する懐の深い(単純な?)アカデミーだけに、アッサリ「Crazy Heart」が受賞するのでは。今年は授賞式で主題歌のパフォーマンスがカットされるようで、28歳ビンガムが歌う姿が見られないのは実に残念だ。
ランディ・ニューマン “Almost There”(プリンセスと魔法のキス) オスカー実績 ノミネート17回・受賞1回 2006年 カーズ(候補) 2001年 モンスターズ・インク(作曲賞候補) 2001年 モンスターズ・インク(受賞) 2000年 ミート・ザ・ペアレンツ(候補) 1999年 トイ・ストーリー2(候補) 1998年 ベイブ/都会へ行く(候補) 1998年 カラー・オブ・ハート(作曲賞候補) 1998年 バグズ・ライフ(作曲賞候補) 1996年 ジャイアント・ピーチ(作曲賞候補) 1995年 トイ・ストーリー(候補) 1995年 トイ・ストーリー(作曲賞候補) 1994年 ザ・ペーパー(候補) 1990年 わが心のボルチモア(作曲賞候補) 1989年 バックマン家の人々(候補) 1984年 ナチュラル(作曲賞候補) 1981年 ラグタイム(作曲賞候補) 1981年 ラグタイム(候補) |
ランディ・ニューマン “Down in New Orleans”(プリンセスと魔法のキス) オスカー実績 ノミネート17回・受賞1回 |
ラインハルト・ワグナー、フランク・トーマス “Loin de Paname”(幸せはシャンソニア劇場から) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
○ マウリー・イェストン “Take It All”(NINE) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
◎ ライアン・ビンガム、Tボーン・バーネット “The Weary Kind”(Crazy Heart) オスカー実績 ノミネート1回・受賞0回 2003年 コールド・マウンテン(候補) |