[受賞最終予想] 衣装デザイン賞
ここ3年の受賞作品は「ある公爵夫人の生涯」「エリザベス:ゴールデン・エイジ」「マリー・アントワネット」と、西洋のコスチューム劇が独占している。歴史を忠実に再現した堅苦しい衣装ではなく、デザイナーの想像力が大いに生かされたオリジナルが評価されており、見た目の華麗さが票の行方を大きく左右しているようにも見える。
今年も「Bright Star」「ヴィクトリア女王 世紀の愛」という2本のコスチューム劇がノミネートされており、特に後者は前哨戦でも他をリードしており、オスカー像にもっとも近い位置にいると言っていい。衣装をてがけたのはオスカー2度受賞のベテラン、サンディ・パウエル。98年「恋におちたシェイクスピア」で見せた絢爛たるコスチュームを今回も再現する。対する「Bright Star」も派手さはないながら美しい衣装。衣装を手がけるのはジェーン・カンピオン監督御用達のデザイナー、ジャネット・パターソンで、今回が初ノミネートとなる。オスカー常連サンディ・パウエルとのコスチューム・デザイン対決で金星なるか。
衣装デザイナー組合賞ファンタジー部門で受賞した「Dr.パルナサスの鏡」も見た目のハデさでは負けていない。鬼才テリー・ギリアムの突飛な想像力を具現化した衣装は見た目のインパクトだけでなく、細部まで美しい仕上がり。手がけたモニク・プリュドムはこれまで「JUNO/ジュノ」や「ドッグ・ショウ」などのコンテンポラリー劇でキャリアを積んできた俊英。初ノミネート初受賞も夢ではない。
得意のミュージカル劇で3度目のオスカー像を狙うコリーン・アトウッド。「シカゴ」「SAYURI」と、ロブ・マーシャル監督と組んだ作品でのオスカー受賞率は何と100%。3度目のコラボでも受賞率を維持できるか。ただ、来年もティム・バートン新作「アリス・イン・ワンダーランド」で連続ノミネートが有力視されており、今年は見送りで……という空気があるかもしれない。
ジャネット・パターソン(Bright Star) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
カトリーヌ・ルテリエ(ココ・アヴァン・シャネル) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
○ モニク・プリュドム(Dr.パルナサスの鏡) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
コリーン・アトウッド(NINE) オスカー実績 ノミネート7回・受賞2回 2007年 スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(候補) 2005年 SAYURI(受賞) 2004年 レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(候補) 2002年 シカゴ(受賞) 1999年 スリーピー・ホロウ(候補) 1998年 愛されし者(候補) 1994年 若草物語(候補) |
◎ サンディ・パウエル(ヴィクトリア女王 世紀の愛) オスカー実績 ノミネート1回・受賞0回 2005年 ヘンダーソン夫人の贈り物(候補) 2004年 アビエイター(受賞) 2002年 ギャング・オブ・ニューヨーク(候補) 1998年 恋におちたシェイクスピア(受賞) 1998年 ベルベット・ゴールドマイン(候補) 1997年 鳩の翼(候補) |