[受賞最終予想] 美術賞
ここ10年は歴史もの、ファンタジー、ミュージカルが仲良く賞を分け合っている。今年のノミネートを見てもその3つがバランスよく選出されており、どの作品が受賞してもおかしくない。
前哨戦をリードしたのは「アバター」。組合賞(ファンタジー映画部門)を含め、複数の賞で受賞し他を圧倒している。同じく組合賞(ピリオド部門)で受賞した「シャーロック・ホームズ」が実績上は対抗馬ということになるが、BoxOfficeでは「アバター」が7億ドルを売り上げたのに対し、「~ホームズ」は2億ドル止まりと大きく水をあけられた(もちろん2億ドルでも大ヒットなのだが)。同じ娯楽作というジャンルでくくられるだけに、この差は致命的だ。
であれば、「アバター」に対抗しうるのは見た目のインパクトで負けない作品。1番手はやはりテリー・ギリアムの奇想天外な世界観を具現化した「Dr.パルナサスの鏡」だろう。全編おもちゃ箱をひっくり返したようなハチャメチャな世界が展開されるだけに評価は割れそうだが、インパクトという点では他を寄せ付けない。あるいは「NINE」の絢爛たるセットも目を引くだろう。手がけるのは「シカゴ」の黄金コンビ、ジョン・マイヤー&ゴードン・シム。作品は不評に終わったが、美術の評価は一様に高い。
ただ、「アバター」「~ホームズ」意外の3作品はいずれも組合賞にノミネートすらされていないというのが痛い。大本命「アバター」に勝負を挑むにはあまりに実績が薄く、頼りない。
◎ 美術:リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ 装置:キム・シンクレア(アバター) オスカー実績 リック・カーター ノミネート1回・受賞0回 1995年 フォレスト・ガンプ(候補) ロバート・ストロンバーグ ノミネート1回・受賞0回 2004年 マスター・アンド・コマンダー(候補) |
○ 美術:デイヴ・ウォーレン、アナスタシア・マサロ 装置:キャロライン・スミス(Dr.パルナサスの鏡) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
美術:ジョン・マイヤー 装置:ゴードン・シム(NINE) オスカー実績 ジョン・マイヤー ノミネート4回・受賞1回 2006年 ドリームガールズ(候補) 2005年 SAYURI(候補) 2002年 シカゴ(受賞) 1998年 エリザベス(候補) ゴードン・シム ノミネート1回・受賞1回 2002年 シカゴ(受賞) |
美術:サラ・グリーンウッド 装置:ケイティ・スペンサー(シャーロック・ホームズ) オスカー実績 サラ・グリーンウッド/ケイティ・スペンサー ノミネート2回・受賞0回 2008年 つぐない(候補) 2006年 プライドと偏見(候補) |
美術:パトリス・ヴェルメッテ 装置:マギー・グレイ(ヴィクトリア女王 世紀の愛) オスカー実績 マギー・グレイ ノミネート1回・受賞0回 1986年 未来世紀ブラジル(候補) |