[受賞最終予想] 撮影賞
前哨戦結果は割れに割れた。サプライズノミネートの「ハリポタ」を除く4作品がそれぞれに一歩も引かないデッドヒート。どの作品が受賞してもかしくないまさに好勝負を演じている。おそらく今年最も予想が難しい部門のひとつだろう。
大きなポイントのひとつは「アバター」の撮影をどう評価するかだろう。おそらくほとんどのシーンがブルースクリーンを背景に撮影されており、衛星パンドラの壮大な景色は大半がCGで作り上げられたものだと想像される。であるならば、”撮影賞”に値するのか?という疑問は当然わいてくるだろう。ノミネートされているからには、素人目にはわからない評価のポイントがあるのだろうが、自然を捕らえた撮影を重視する向きから敬遠される作品であることに間違いはない。この接戦の中、”投票しない理由”がある作品は推しづらい。
そこでクローズアップされるのが、最新技術の塊である「アバター」とは全くもって対照的な「白いリボン」だ。色彩鮮やかな「アバター」とは180度違うシンプルなモノクロ映像は今、逆に新鮮に移る。陰影がポイントになるモノクロ撮影は技術的にも高度なものが要求されるようで、一見地味ながら玄人受けしやすい。反「アバター」票はこの作品に流れるのではないか。そして何より、直前の組合賞を受賞しているのが大きい。
対抗馬は戦場のひりひりする緊張感まで写し撮った「ハート・ロッカー」。撮影監督のバリー・アクロイドは、一連のケン・ローチ作品をはじめ、ポール・グリーングラス監督と「ユナイテッド93」、新作の「グリーン・ゾーン」でも組んでいる。その場の空気ごと刈り取るその腕前は現役最高峰で、初ノミネートが不思議なほどだ。ただ、現場のありのままを捉える撮影手法はアカデミー賞においてはそれほど受けがよくなく、見た目に鮮やかな作品に遅れをとることが多い。モノクロが逆に武器になっている「白いリボン」に比べると、やや押し出しが弱いかもしれない。
マウロ・フィオーレ(アバター) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
ブリュノ・デルボネル(ハリー・ポッターと謎のプリンス) オスカー実績 ノミネート2回・受賞0回 2004年 ロング・エンゲージメント(候補) 2001年 アメリ(候補) |
バリー・アクロイド(ハート・ロッカー) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
ロバート・リチャードソン(イングロリアス・バスターズ) オスカー実績 ノミネート5回・受賞2回 2004年 アビエイター(受賞) 1999年 ヒマラヤ杉に降る雪(候補) 1991年 JFK(受賞) 1989年 7月4日に生まれて(候補) 1986年 プラトーン(候補) |
クリスティアン・ベルガー(白いリボン) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |