[受賞最終予想] 脚本賞
脚色賞部門とは対照的に、5作品中3作品の候補者がノミネート経験者。うち3人はすでにオスカー像を手にしているツワモノたちで、実力者たちが実力通りに評価された結果となっている。
受賞を争うのは「ハート・ロッカー」マーク・ボールと「イングロリアス・バスターズ」クエンティン・タランティーノ。自らの戦場経験をもとに、戦地の過酷な状況を可能な限りリアルに再現した「ハート・ロッカー」と、戦争の事実を確信犯的に”改竄”して遊んでみせた「イングロリアス~」の対決という構図が象徴的で面白い。どちらが選ばれるかによって、アカデミーの現在の体質がある程度見えてきそうだ。
両者の前哨戦実績はほぼ互角。受賞数なら「イングロリアス~」が勝るが、肝心の組合賞は「ハート・ロッカー」が制している。ただし、組合賞は「イングロリアス~」の候補資格がなく、ノミネートもされていないので参考にはならないかもしれない。もうひとつの重要賞であるブロードキャスト批評家協会賞は「イングロリアス~」が受賞しており、総合的にはタランティーノ優位との判断が出来る。脚本・脚色賞を受賞した作品が作品賞も受賞する確率は高く、勝者がそのまま混戦模様の作品賞部門をも制する流れになるかもしれない。となれば作品賞の勝者は……!?
○ マーク・ボール(ハート・ロッカー) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |
◎ クエンティン・タランティーノ(イングロリアス・バスターズ) オスカー実績 ノミネート1回・受賞1回 1995年 パルプ・フィクション(ロジャー・エイヴァリーと連名で受賞) |
ジョエル&イーサン・コーエン(A Serious Man) オスカー実績 ノミネート3回・受賞2回 1997年 ファーゴ(受賞) 2001年 オー・ブラザー!(候補) 2008年 ノー・カントリー(受賞) |
ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン、トマス・マッカーシー(カールじいさんの空飛ぶ家) オスカー実績 ピート・ドクター ノミネート2回・受賞0回 1996年 トイ・ストーリー(候補) 2009年 WALL・E(候補) ボブ・ピーターソン ノミネート1回・受賞0回 2004年 ファインディング・ニモ(候補) |
オーレン・ムーヴァーマン、アレッサンドロ・キャモン(The Messenger) オスカー実績 ノミネート0回・受賞0回 |