[受賞予想] 助演男優賞-大本命C・ベールが受賞できない理由
■助演男優賞
重要前哨戦3賞(アメリカ俳優組合賞、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト批評家賞)を総なめしたクリスチャン・ベール(ザ・ファイター)が実績で他を圧倒。実績通りなら順当にオスカー像を勝ち取るだろう。実在の人物を演じた強みもあれば、大幅な減量によるフィジカルな役作りも見た目にインパクトがある。エキセントリックな演技が要求される役柄で、物静かで地味な主人公との対比で存在感がよりいっそう浮き彫りになる。まさに磐石だ。
ただし、ベールには落とし穴もある。1つは世界中を騒がせた「ターミネーター4」事件。撮影監督を罵倒した肉声ファイルがWEB上にバラまかれ、Fワードを連発するベールの暗黒面が露呈した。また、時を同じくして家族への暴行事件も世間を騒がせた。そのどちらもベール陣営の適切な処置によりコトは大きくならずに済んだが、少なくとも今のベールに清廉潔白なイメージはない。
彼がブルース・ウェインであることも票の妨げになるかもしれない。クリストファー・ノーランが「インセプション」で監督賞候補から漏れたことで明らかなように、アカデミー会員たちは彼らの成功を快く思っていない。散々儲けたやつらにオスカー像をくれてやることはない、という心理が働いたとしても無理はない。
逆転候補のジェフリー・ラッシュ(英国王のスピーチ)は、前哨戦こそベールに大差をつけられたが、世間が思うよりずっと強力なコンテンダーだ。直近に発表された英国アカデミー賞ではベールを破って受賞しており、「英国王のスピーチ」に吹く強い追い風に乗ってグングン勢力を伸ばしつつある。役柄的にも好感度100%で、主役のジョージ6世ともどもつい応援したくなってしまう人物を演じている。すでに1度受賞(「シャイン」で主演男優賞)しているのが大きなネックだが、オスカー像を両手に抱えてもおかしくないフィルモグラフィーの持ち主。大逆転はあると見る。
後は、昨年No.1大コケ映画「The Warrior’s Way」(チャン・ドンゴン主演)にうっかり出演してしまったことを、アカデミー会員が気づかずにいてくれるのを願うばかりだ。
管理人の予想
◎ジェフリー・ラッシュ(英国王のスピーチ)
○クリスチャン・ベール(ザ・ファイター)