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[受賞予想] 監督賞-勢いは「英国王」にあり。大逆転劇ある。

アカデミー賞 記事:2011.02.27

前哨戦を独走するデヴィッド・フィンチャー(ソーシャル・ネットワーク)を見て、違和感を感じるオスカー・ウォッチャーは多かったはずだ。あのフィンチャーがアカデミー賞?と。でも21世紀に入り、「あの○○が!?」というケースは珍しくなくなった。マーティン・スコセッシやコーエン兄弟が監督賞を受賞する時代だ。フィンチャーが受賞して何の不思議がある?

「セブン」で衝撃的な映画監督デビューを果たしたデヴィッド・フィンチャーはもう、映像9割と揶揄されたかつてのフィンチャーとは違う。堂々たる犯罪スリラーの傑作「ゾディアック」こそアカデミーから評価されなかったものの、前作「ベンジャミン・バトン 数奇な運命」では自身初のアカデミー賞候補を勝ち取った。寡作ながら確かなクオリティで順調にキャリアを積み、オスカー像を手に入れるにふさわしい評価を得るに至った。今年は彼の順番だ。

ところが、そこに1人の若者が割って入った。弱冠38歳のイギリスの俊英トム・フーパー(英国王のスピーチ)だ。前哨戦終盤までまったく目立たぬ存在で、最近まで彼のオスカー・チャンスは限りなくゼロに近かった。しかし、DGA(監督組合賞)での受賞が、彼を一躍フィンチャーの強力な対抗馬に押し上げる。それでも世間ではまだ彼を、フィンチャー独走による賞レースの盛り下がりに対するカンフル剤のような役割と見なす者もいる。それは大きな間違いだ。DGAの影響力を甘く見てはいけない。それまでの前哨戦結果を無に帰すくらい、DGAでの受賞には大きな意味がある。過去63回の歴史の中で、DGA受賞者がオスカーを受賞しなかった例はたったの6回しかない。単純に確率から言ってもDGA受賞者のトム・フーパーが本命視されて然るべきなのだ。

一方で、ダーレン・アロノフスキー(ブラック・スワン)の逆転受賞を信じる声も少なからずある。DGAはアン・リー(グリーン・デスティニー)が受賞するも、オスカーはスティーヴン・ソダーバーグ(トラフィック)が制した2000年のケースに似ている。作品賞は「グラディエイター」が受賞し、「トラフィック」は作品賞部門でも3番手扱いだった。作品賞で勝負を度外視されていても、監督賞受賞の可能性はゼロではないという例だ。ただし、ソダーバーグの場合、前哨戦ではかなりの実績を残していたし、同年は「エリン・ブロコビッチ」も同時ノミネートされていて、その年の顔と言ってもおかしくない活躍ぶりだった。アロノフスキーにそこまでのインパクトはない。

デヴィッド・フィンチャーか、トム・フーパーか。2人の間には映画監督として決定的なキャリアの差があるが、それでもDGA会員たちは後者を受賞者に選んだ。この決定にある程度の反動はあるかもしれない。だが、DGAの評価はフィンチャーに対する何かしらの意思表示のような気がしてならない。DGAとアカデミー会員の多くが重複している以上、この決定を覆すほどの要因がない限り、逆転は難しいのではないか。個人的にはフィンチャーを応援したいが、勢いはフーパーにある。

管理人の予想
◎トム・フーパー(英国王のスピーチ)
○デヴィッド・フィンチャー(ソーシャル・ネットワーク)


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