[ノミネーション予想] 助演男優賞
混戦模様の助演男優賞部門。クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)が初受賞に向けて着実に実績を積み重ねているが、ノミネート予想はことのほか難しい。
重要3賞(SAG、GG、BFCA)すべてにノミネートされたのは、プラマーとケネス・ブラナー(マリリン 7日間の恋)の2人だけ。前哨戦でプラマーと一騎打ちを繰り広げているアルバート・ブルックス(ドライヴ)がSAGで候補落ちするというハプニングもあり、本番でも波乱があっておかしくない。
3賞のうち2賞で候補入りしているのは、アルバート・ブルックスのほかジョナ・ヒル(マネーボール)とニック・ノルティ(Warrior)だ。ノルティは前哨戦開始前はまったく下馬評にも上っていなかったが、後半に急遽追い上げた印象。91年の「サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方」では受賞を確実視されながら落選した過去もあり、キャリア賞賛票が集まる可能性は高い。
ジョナ・ヒルは従来のコメディ演技を封印して演技力開花。前作「僕の大切な人と、そのクソガキ」でも演技力の素質は見せており、今回の評価は決してフロックではない。ただし、その若さとコメディ俳優という先入観が得票を妨げる危険性はある。
アルバート・ブルックス(ドライヴ)は、SAGこそ候補から漏れたものの、他の前哨戦ではライバルのプラマーを上回る実績を残しているフロントランナー。アカデミー賞で候補落ちするようなことがあれば最大級のハプニングだ。おそらく役柄に対する嫌悪感が得票の邪魔をしているのだろうが、87年「ブロードキャスト・ニュース」以来のオスカー候補となる可能性は高い。
他、前哨戦実績上位はアンディ・サーキス(猿の惑星:創世記<ジェネシス>)、ジョン・ホークス(Martha Marcy May Marlene)、パットン・オズワルト(ヤング≒アダルト)、アーミー・ハマー(J・エドガー)、マックス・フォン・シドー(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)。
中でも注目はアンディ・サーキスだ。20世紀フォックスはしきりにサーキスにオスカーをとプッシュしており、その努力が実っていくつかの前哨戦で実績を残した。果たしてアカデミー会員たちはモーション・キャプチャーによるパフォーマンスを演技として認めるのかどうか。サーキスの演技力に対しては疑問の余地なく、焦点はモーション俳優を対象として認めるかどうかの1点に尽きる。モーション俳優のオスカー候補第1号誕生なるか注目だ。
ノミネーション予想
ケネス・ブラナー(マリリン 7日間の恋)
アルバート・ブルックス(ドライヴ)
ジョナ・ヒル(マネーボール)
ニック・ノルティ(Warrior)
クリストファー・プラマー(人生はビギナーズ)