[ノミネーション予想] 主演男優賞
今年の主演男優賞部門はスターが大集合。今ハリウッドでもっとも人気と影響力がある3人の男優がノミネートの栄誉を勝ち取りそうだ。
SAG、GG、BFCAの重要3賞すべてにノミネートされたのは、ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)、レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)、ジャン・デュジャルダン(アーティスト)、ブラッド・ピット(マネーボール)の4人。俳優仲間のコネクションが得票の重要なポイントとなるだけに、クルーニー、ディカプリオ、ピットの3人は強力なコンテンダーだ。作品の評価も高いクルーニーとピットの2人は受賞まで争える有力候補で、ノミネートはまず堅い。一方のディカプリオは作品の評価が今ひとつ。他前哨戦でもノミネート止まりで受賞は1つもなく、ノミネート安泰とは言いがたい。重要3賞すべてでノミネートされているとはいえ、他候補に足下をすくわれる可能性も少なくない。
フランス人俳優ジャン・デュジャルダンはカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。対象作「アーティスト」が快進撃を続けており、その勢いを駆ってノミネートまでは問題なくクリアできそうだ。クルーニー、ピット、デュジャルダンの3人は当確、残る2つの椅子を5人の有力コンテンダーが奪い合うことになる。
最有力はマイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)。「イングロリアス・バスターズ」で注目を浴びた後は、「XMEN/ファースト・ジェネレーション」で若き日のマグニートーを演じて絶賛され、デヴィッド・クローネンバーグ監督の新作「A Dangerous Method」でもその演技を高く評価されている。今もっとも引く手あまたの人気者で、出世作となった「Hunger」で組んだスティーヴ・マックィーン監督との再コラボで初のオスカー候補を狙う。
同じマイケルならオスカー候補経験のあるマイケル・シャノン(テイク・シェルター)も要注目。重要3賞こそノミネートを逃したが、他の前哨戦では存在感を見せている。対象作がマイナーな分他のコンテンダーに比べて不利だが、シャノンの認知度は決して低くない。新生「スーパーマン」の悪役、ゾッド将軍役に抜擢されたことで今後さらなるブレイクが期待される演技派で、2度目のオスカー候補で弾みをつけたい。
ライアン・ゴズリング(ドライヴ)の存在も無視できない。2011年は大活躍で、「ドライヴ」のほかにも「スーパー・チューズデー/正義を売った日」、「ラブ・アゲイン」でも前哨戦に名を連ねた。ゴールデン・グローブ賞では「スーパー・チューズデー〜」(ドラマ部門)と「ラブ・アゲイン」(コメディ・ミュージカル部門)の2作品で同時ノミネートされており、評割れが心配だ。
キャリア豊富ながら1度もオスカー候補経験のないゲイリー・オールドマン(裏切りのサーカス)にとっても大きなチャンスだ。エキセントリックな演技はこれまで過小評価されてきたが、「裏切りのサーカス」ではイメージを覆す抑えた演技を披露し、賞賛を浴びている。作品の評価もすこぶる高く、初のオスカー候補となるか注目される。
SAGでサプライズ候補となったデミアン・ビチル(A Better Life)も有力候補。作品もビチル自身も無名の存在だが、何と言ってもSAGでの候補にはバリューがある。こうしたサプライズ候補はそのままオスカー候補になる確率も高く、決して侮れない。
さて結論だが、やはり重要3賞すべてでノミネートされているレオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)の優位はゆるがず。また、重要3賞のうち2賞でノミネートのマイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)も上位だろう。順当にいけばこの2人で決まるのでは。
ノミネーション予想
ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)
レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)
ジャン・デュジャルダン(アーティスト)
マイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)
ブラッド・ピット(マネーボール)